今更ですが、FF7のヒロインであるエアリスが誰を好きなのか、もっと言えば、ザックスなのかクラウドなのか?を考察してみました。
*以下、FFⅦ 、FFⅦREMAKEのネタバレがあります! FFⅦ及びFFⅦREMAKEを未プレイの方はご注意ください*
エアリスの想い人
前回記事で、クラウドの中のジェノバ細胞が「感情」を読み取ったのか検証してみましたが、
【FF7R考察】ジェノバ細胞は感情も読み取れる? クラウドがティファやザックスの感情を読み取ったのか、仮説も含めて徹底検証してみたこれに付随して、主人公クラウドと深い関わりのある物語のヒロインのエアリスが誰を好きなのか、考察してみます。
初恋はザックス
これはもう言うまでもなく、エアリスの初恋相手はザックスです。
正真正銘のソルジャー・クラス1stで、クラウドの親友でもあります。
★エアリス・ザックス・クラウドの関係をまとめた記事は、こちらから。
【FF7考察】実は複雑な三角関係? クラウド・エアリス・ザックスの関係性原作でのザックスにおいてはその描写が極端に少なく、最初はエアリスの情報から「ソルジャー・クラス1st」というくらいしか、情報がありませんでした。
原作ではゴンガガ村でエアリスと会話をして初めて彼女の口から「ザックス」の名前が出て、エアリスの初恋の相手がザックスだったことが判明します。(この会話で「女の子が大好き」な性格なことも判明)
後にCCFF7で主人公を張ったザックスも、原作の時にはほとんど出番がなかった
んですね。
しかし後に発売された関連作品のCCFF7では、強く明るく、夢と誇りを持ち、仲間想いで、女の子大好きながらもエアリスとも親交を深め、まさに物語のTHE・主人公的な性格として描かれていました。
エアリスの初恋の相手は、そんな素敵な男性だったと、CCで初めて判明したのです。
話を戻して、もちろんリメイク版でもその設定は同様でした。
みどり公園での会話で初恋の人の名前をクラウドから聞かれた時、
エアリスは「ザックス」と言っているような口の動かし方だったので、リメイク版でも確実ですね。
(肝心のクラウドは、ジェノバ細胞の影響でザックスから聞いていた経験から元ソルジャーという肩書を名乗っていたため、ジェノバ細胞が拒否反応を起こしたのか、「ザックス」の名前は聞き取れませんでしたが…)
CCではザックスとエアリスは良好な関係を築き、ザックスが行方不明になった後もエアリスは少なくとも4年間は89通もの手紙を書いたくらい、一途にザックスを想い続けていました。
相手が読むかもわからない手紙を、17歳から4年間、89通も書き続ける…。
エアリスにしてみれば、少し遅めの初めての恋だったので、そう簡単に忘れることができなかったのかな、とも思えます。
まさしく、
ザックスはエアリスの「初めて好きになった人」だった
のです。
本編以降は、クラウドのことが好きになる
さて、エアリスの初めての恋から5年。
FF7本編において、
エアリスはクラウドのことを好きになった
と、私は認識しています。
初恋の人ザックスに似ている、という理由で最初クラウドのことが気になり、一緒に過ごす内にクラウド自身のことが好きになっていったのだろう、と。
まぁ、あくまで原作FF7は「星の命」がテーマのRPGゲームなので、主人公と誰がくっついた、という所に重点は置いておらず、そのためにFF7主要女性キャラではエアリスもティファもユフィもあからさまに「クラウドが好き!」と本編中では誰も明言していません。(好感度によってユフィはクラウドに大胆なチュをしますが)
とはいえ、(原作ではおまけキャラのユフィはともかく)エアリスもティファもクラウドのことが好きだったことは、間違いないでしょう。
エアリスがクラウドを好きになったと思う理由
私は原作をプレイした当時からなんとなく、「エアリスはクラウドのことが好きなんだなぁ」と感じていたのですが、大人になって改めて根拠を考えてみました。
解体真書
原作FF7解説本の解体真書にはシナリオごとに特定キャラのショートストーリーが載っており、ゴンガガ村のページでは、エアリスの気持ちが書かれています。
クラウドにはじめて会ったとき、ザックスに似てるなって思った。ちょっとした仕草や、言葉づかいまで……優しいところも。でも、クラウドはクラウドだよね。私、今はきっと、ザックスよりもずっとクラウドのことが好きになってる。
でもクラウド、にぶいからなあ。
ファイナルファンタジーⅦ 解体真書 ザ・コンプリートより引用
既にゴンガガ村で、エアリスは自分の気持ちを自覚していたようです。
きっかけは初恋の人・ザックスでも、次第に「クラウドが好き」と思うようになったのです。
だから、メテオのことは私にまかせて。クラウドは自分のことだけ考えて。自分のやりかたを思い出して……あなたが壊れてしまわないように。
(中略)
あ、クラウド……ゴールドソーサーでのデート、楽しかったよね。ゴンドラから見た夜景、とってもきれいだった。私、ずっと忘れない。
クラウドのこと、忘れない……。
ファイナルファンタジーⅦ 解体真書 ザ・コンプリートより引用
忘らるる都へ単身行く前のクラウドへの気持ちは、とても胸を抉ります。
好きな人がこれ以上壊れてしまわないように、エアリスがクラウドを本当に大切に思っていたことが窺えます。
…が、前回記事にもあったように、解説本も本によっては内容に相違点があったりして非常に混乱しやすいので、解体真書はあくまで参考程度、ということにしておきます。
デートイベント
原作での見所のひとつ、ゴールドソーサーでのデートイベントもわかりやすいかなと思います。
エアリス・ティファ・ユフィ・バレットの4人の内、それまでの会話選択肢で好感度が高いキャラとデートができるイベントです。
ただし、このイベントも決戦前夜同様に、好感度によっては会話の内容が変わる分岐ルート(プレイヤーによっては見ないルートもある)なので、こちらもあくまで参考程度、です。
では、ゴンドラでの有名なエアリスとの会話です。
「……はじめはね、そっくりだったから気になった」
「全然別人なんだけど、そっくり」
「歩き方、手の動かし方……あなたの中に彼を見ていた……」
これは、ジェノバ細胞の影響で創り出された”幻想のクラウド”の中に、まさしく初恋の人だったザックスを見ている、と言うことですね。
「でも、違うの」
「今は、違う……」
この否定の言葉で、エアリスが今、誰を見ているかがわかります。
はじめはクラウドを通して「彼」を見ていたけれども、今は「彼」を見ていない、クラウド自身を見ている、ということです。
「ね、クラウド」
「わたし、あなたをさがしてる」
「あなたに会いたい」
これもまた意味深な言葉であり、今ではエアリスの代名詞とも言える有名な台詞です。
子どもの時は単純に
「エアリスはセトラだからクラウドが偽人格だって気付いてた!?」
と思っていたのですが、よくよく考えてみればセトラにそんな能力があるのかは不明だし、更にエアリスはクラウドが偽人格だとわかる前に亡くなっているので、クラウドの秘密を知る由もありません。
しかし、おそらくエアリスもシド同様にクラウドのチグハグさに気付いていたのでは?と思います。
クラウドが竜巻の迷宮で行方不明になった後、シドが言ってるんですよね。
「オレ様はあいつのことはキライじゃなかったぜ。変なヤツだったけどな」
「カッコつけてるかと思えば 間の抜けたこともする。やたら物知りなヤツだと思えば あたりまえのことも知らない」
「動き方も話し方も なんかチグハグなんだよな」
「今にしてみれば ああ、なるほどってやつだけどよ」
この時のメンバーでは一番遅くに加入したシドでさえ、クラウドに対して違和感らしきものを感じていたのだから、物語冒頭に出会ってから古代種の神殿まで一緒に冒険していたエアリスなら、尚更シド以上にクラウドに何かしらの違和感を感じていたでしょう。
しかし、クラウドに恋をしていたからこそ、彼に違和感を感じても、エアリスは
“チグハグさの正体”=“本物のクラウド”を探していた
のだろう、と私は思いました。
「あなたに会いたい」と言っていることから、“本物のクラウド”を受け止める勇気と覚悟がエアリスにはあったのです。
“幻想のクラウド”に違和感を感じても、“本物のクラウド”を探したいと思い、更に“本物のクラウド”を受け止めたいと思っていなければ、「あなたに会いたい」なんて言葉は出てきませんからね。
つまり、エアリスのデートイベントでは、抽象的ながらもエアリスからクラウドへの想いが、はっきり見て取れるイベントなっています。
原作の演出だとエアリスもティファもユフィもクラウドにはっきりと「好き」だと言ってはいませんが、それぞれのデートイベントをこなせば、
それぞれのヒロインが主人公=クラウドに気持ちが向けられていることがわかる演出になっている
のです。
『別れの物語展』でのエアリスの言葉
ここからが、
「エアリスがクラウドのことを好きだったと思える理由」の本命
です。
2018年に行われていた『FINAL FANTASY 別れの物語展』。
これは、FFシリーズが創られてから30周年の年に「別れ」をテーマにした展示会です。
FFファンの方なら会場に足を運んだ方も多いのではないでしょうか。
この時に、FF7のシナリオを担当されている野島氏書き下ろしによる、エアリスの遺したメッセージがありました。
明確にエアリスから誰に向けてなどの説明はなかったですが、私はこの台詞を見ると、大半はエアリスからクラウドへ向けての言葉としか考えられませんでした。
以下、メッセージの一部抜粋です。
「新しい恋で、古いの、忘れられる。
そんな話、聞いてたけど……これがそう? なんだか、心が痛い。いいのかな?」
私はこの台詞で、
新しい恋=クラウドへの恋
古いの=ザックスへの恋
としか考えられなくてですね…。
ザックスはエアリスの初恋相手なんだから、「古い恋」があるなら「新しい恋」なわけないですし。
そこに確かにあったはずのザックスへの恋心が、段々とクラウドへと向けられていることに、エアリス自身が罪悪感のようなものを感じていたことがわかる、非常に切ない台詞だと受け取りました。
「時々、同じ目の人を見かけるよ。君と同じ目。そのたびに、迷うんだ。
あの人、知ってますか? どこにいるか、知りませんか?
訊いてみようか、やめようか……って」
これは明らかにザックスのこと…!
この文面だと、迷いながらも結局はザックスのことを訊けずにいるニュアンスに見えます。
CCではザックスが命を落としたことを察知したような描写がありましたが、原作では最期までザックスの詳細を知らずにいたエアリス。
どちらの設定を引き継いでいるにせよ、もし訊いてしまったら、ザックスに二度と会えなくなると心のどこかで確信めいたものがあったのかもしれませんね。
訊かなければ、いつかどこかで会えるかもと、淡い希望をいつまでもずっと持っていられますし…。
「別れの辛さ、知ってるのに。
どうして出会いは……出会いはこんなに嬉しいのかな? 意地悪だなあ」
ザックスとの辛い別れを既に経験したエアリス。
そんなエアリスがクラウドとの出会いに戸惑いながらも、一緒にいられて嬉しい気持ちが伝わってきます。
「参りました。降参です。君のこと、気になって……ああ悔しい!」
悔しい!が可愛い(笑)
クラウドへの気持ちを自覚して、エアリス自身もその気持ちを持っていてもいいんだと認めたのでしょう。
ザックスへの恋に終わりを告げて、クラウドへの新しい恋が始まったことが窺えます。
これらメッセージは一部ですが、リメイクの制作発表がされたのは2015年ですから、野島氏もリメイク版を考慮しながらのエアリスの言葉だったのだろうと思います。
野島氏書き下ろしのこのエアリスの言葉で、クラウドを好きになったエアリスの恋心の変遷が原作よりもわかりやすく表現されましたね。
私も『別れの物語展』でのこのエアリスのメッセージを考えてみて、
「あ、やっぱりエアリスってクラウドのこと好きだったんだよね」
と、改めて確信できました。
前を見ようとしているエアリス
ここからは完全に蛇足ですが、上記のエアリスのメッセージをリメイク版で振り返ってみます。
「ね せっかくの再会だから少し お話する?」
ザックスと同じ出会い方で、教会で再会を果たしたクラウドとエアリス。
ザックスへの恋心をスッパリ忘れていたわけではないけれど、ザックスに似ているクラウドのことが気になってしまったことが、
「どうして出会いは……出会いはこんなに嬉しいのかな? 意地悪だなあ」
に、繋がるのではないでしょうか。
この後、伍番街スラムのクエストを全部こなせば、エアリスとのExチャート「花と語りて」イベントが起きます。
花の声がもう少しで聞こえそうなんだけれど、あと一歩届かなくて、だから聞こえないと言うエアリス。
「わたし いつもそう」
「そして あきらめちゃうの」
「そんなふうには 見えない あきらめるようには」
クラウドは純粋にエアリスが前向きな性格に見えたから、こう言っているのでしょうが…。
私はこの台詞で、
「時々、同じ目の人を見かけるよ。君と同じ目。そのたびに、迷うんだ。
あの人、知ってますか? どこにいるか、知りませんか?
訊いてみようか、やめようか……って」
を思い出しました。
ザックスのことを訊こうかどうしようか迷いながら、結局はいつも訊けずにいたであろうエアリス。
真実を知りたいけど知るのが怖くて、あと一歩勇気を出せば訊くこともできたのに、結局はいつも諦めてしまっていたのかな…と。
だけど、この日は頑張ったんですよね……クラウドは鈍感だからわかっていなかったけど。
場面は変わり、夜中に家を抜け出したクラウドがエアリスに抜け駆けを食らって、陥没道路を進んだ後。
夜中のみどり公園では、とうとうエアリスからザックスの話題を切り出します。
「はじめて 好きになった人」
原作でも同じ切り出し方でしたが、上記のザックスへの想いを踏まえると、こんな切り出し方でもエアリスにしてみればとても勇気の要った発言だったことがわかります。
これまで5年間、同じ目をしたソルジャーらしき人を見かけても、ザックスのことを訊いてみようか迷ってばかりで訊けずにいたのが、この日初めて、クラウドには訊けたのです。
そしてクラウドからその人の名前を聞かれた時、
エアリスにしては珍しく、言葉に詰まり迷った表情になります。
時間で言えばほんの一瞬でしたが、一度前を向いて息を呑んだ後に、意を決して「ザックス」と言ってるんですよね。
クラウドはザックスの名前を聞けずに頭痛を起こしてしまいますが、それでも上記の台詞を考えると、エアリスにはとても大きな一歩だったように思えます。
そしてエアリスは、ザックスと同じ目をしたクラウドに「きれい」と声をかけます。
ザックスは元々女の子好きの明るい性格なので、当時17歳だったエアリスに「瞳がきれい」と言われても特に動揺もせずに、
「気に入った? だったら もっと見てよ」
「魔晄を浴びた者の瞳 ソルジャーの証だ」
と、逆にザックスの方からエアリスの顔を至近距離で見つめてしまうくらいでしたが、
「ああ 魔晄を浴びた者の瞳 ソルジャーの証だ」
ザックスと全く同じ言葉ではありますが、クラウドはエアリスから顔を逸らしながらです。
ザックスと違い、精神年齢16歳で恋愛経験もほぼ無いであろうクラウドなら、ごく自然の反応です。
「うん 知ってる」
同じ言葉をかけても、返って来る反応は正反対なザックスとクラウド。
クラウドは確かに手の動かし方や仕草はザックスにそっくりだけれど、やっぱりザックスとクラウドは別人なんだと、エアリスはこの会話で改めて痛感したのではないでしょうか。
最後は、
「前 見なくちゃね」
私はこのエアリスの台詞、まさにこの言葉通りだと受け取りました。
5年もの間ザックスへの気持ちが迷子だったエアリスが、彼に似ているクラウドに出会って初めて、彼の話題を切り出すことができたのです。
加えて、ザックスとクラウドは全くの別人でありながら、クラウドのことが気になるのも事実で。
エアリスにはこの会話が、気持ちを切り替えられる良いきっかけになったのでは?
だからこそ、前を見ようと思えるようになったのかな、と。
いきなりザックスへの気持ちを全部割り切るなんてことはできなかったでしょうが、少しずつ前を向けるきっかけになったのだったのだろう、と個人的に感じた会話でした。
★だからこそ、この後の決意イベント「好きにならないで」が切ない…。
【FF7R考察】エアリスの台詞「好きにならないで」の意味まとめ
後半長くなってしまいましたが、FF7のヒロインであるエアリスが誰を好きだったか、考察してみました。
- CCで出会いを描かれたザックスが、初めて好きになった人。
- FF7本編で運命的な出会いを果たしたクラウドが、最終的に再び好きになれた人。
だと、私は認識しています。
原作をプレイしていれば、公式が言うヒロイン枠のエアリスやティファがクラウドに気持ちが向いているのは、明らかでしょう。
それに加えて、野島氏書き下ろしのエアリスのメッセージもあり、エアリスがクラウドへと段々気持ちが傾いていったのは明白です。
…というのを踏まえると、原作通りの展開になれば余計に忘らるる都でのイベントを見るのが怖くなりますが…。
それでも、続編は楽しみです!
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