FFⅦ REMAKEにおいて、それぞれの決意イベントでのエアリスの台詞、「好きにならないで」の意味を考察していきます。
*以下、FFⅦ REMAKEのネタバレがあります! FFⅦ REMAKEを未プレイの方はご注意ください*
「好きにならないで」
FFⅦ REMAKEにおいても、物語のキーパーソンであるエアリスは、意味深な言葉をいくつか残しています。
その中で個人的に印象的だったもののひとつが、チャプター14冒頭、それぞれの決意イベントの、
「でもね 好きにならないで」
「もしそうなっても 気のせいだよ」
と、苦しそうに言うエアリスの言葉です。
突然の思わぬ発言に最初は「?」でしたが、この言葉の意味、これまでの原作より控えめになったエアリスの性格も含めて、考察してみました。
★リメイク版エアリスの考察記事はこちらから。

自分の最期を知っているから
一番に考えられる意味としては、おそらく、
エアリスが原作通りの自分の最期を予知・予感できてしまっているから
でしょう。
★エアリスがなぜ未来を知っているのかは、こちらの考察記事からどうぞ。

★エアリスはフィーラーの目的すらも知っている?

七番街プレートの事件で「予感」が「現実になる」ことを知ったエアリスは、なんとなく感じ取っていた自分の最期のことも、将来高い確率で「現実になる」と確信したのかもしれません。
「好きにならないで」の前には、
「クラウドと会えて 嬉しかった」
「かけたくれた言葉 ひとつひとつ」
「してくれたこと ひとつひとつ」
「全部 嬉しかった」
「一緒にいられて 楽しかった」
と、まるでこれでお別れのような言葉を口にしており、原作を知っている我々からすると、エアリスの最期を連想させるようなシーンでした。
自分の最期が現実になると確信してしまったからこそ、クラウドにあのような言葉が出たのです。
加えて、自分に対しての戒めの言葉でもあったように感じます。
クラウドに「好きにならないで」と言いながら、自分もクラウドを「好きにならない」ようにする、それこそ本当の決意表明です。
あえてクラウドにギリギリな言葉を掛けることで、自分の気持ちをも抑え込もうとしているように聞こえました。
原作ではグイグイと積極的にクラウドにアピールしていたエアリスですが、リメイク版ではそこまで積極的に押していたわけではなく、純粋に明るくクラウドに接しているだけで、ジェシーのようなあからさまなアピールがほとんどなかったのが印象的でもありました。
★しかし、エアリスが本当に好きなのは…?

クラウドの中の人格にザックスがいたから?
もうひとつ、
クラウドの中にザックスがいるのを知っていたから
という説もあります。
これも未来予知の能力なのか、それとも古代種がゆえの能力かは不明ですが、物語序盤で既にクラウドが別人格を演じているとわかっていたため、クラウドがこれから先エアリスに向けて思うその気持ちは、本当のクラウドの気持ちではない…と暗に言っている、という可能性です。
原作厨フィーラーの私は、この線は薄いように思います。

こちらの記事にもザックスとエアリスの関係をまとめましたが、解体真書にも、当時のエアリスの気持ちがはっきりと記されています。
「私の初恋の人……って言っても、とくに親しくなったわけじゃなかった。ミッドガルで花売りをしているときに出会って、ちょっといいなって、そう思っただけ。
(中略)
だから5年前、ザックスがどこかに任務で出掛けるって言ったきり姿を見せなくなったとき、ずいぶん泣いたっけ。ああ、これが初恋って言うんだって」
ファイナルファンタジーⅦ 解体真書より
つまり、原作ではザックスとエアリスはCCFF7のような関係ではなく、あくまでザックスはエアリスの初恋の人だったというだけです。
「ザックス! それじゃあなたも、しんでいたの?」
本来なら訊くまでもない問いだったが、エアリスは反射的にそう考え、言葉にしていた。それほどに、この陽気で腕の立つソルジャーには死は不似合いだった。行方知れずであっても、きっとどこかで無事に暮らしている――そう盲目的に信じていた自分に改めて気付き、この残酷な仕打ちに彼女は強い衝撃を受ける。
ファイナルファンタジーⅦ アルティマニアオメガ 「小説 星を巡る乙女」文/ベニー松山 より
アルティマニアオメガの巻末小説では、エアリスがライフストリームの中でザックスと再会し、その時までザックスが亡くなっていたことを知らなかったことが記されています。
だとすると、クラウドの中に初恋の人=ザックスがいる!なんて生存中は微塵も感じていなかったはずです。
それでも万が一、リメイク版ではフィーラーにより序盤からクラウドの真実を知っていたとしても、
(交際もしていない初恋のザックスの人格が私を好きかもしれないから)
「もしそうなっても 気のせいだよ」(キリッ)
なんて言うの、どう考えても痛い女でしょう(笑)
エアリスがザックスを好きだっただけであって、当時のエアリスはザックスの気持ちなど知る由もなかったからです。
それで上の台詞が出るなら、完全に勘違いにも程があります。
では、もしリメイク版でCCFF7の「恋人とも勘違いされるほどのザックスとエアリスの関係設定」を踏襲していたとして、そうなると、
(しんじゃった元カレのようなザックスの人格が私のこと好きなだけだから)
「もしそうなっても 気のせいだよ」(ドヤッ)
ということになり、これだと個人的には、なんだかエアリスに対して「おこがましいなぁ」という気持ちが出てきます。
元カレ?の人格を秘めているクラウドに対し「その気持ちは元カレのだから!」と暗に言っているなんて、この時点でザックスは既に亡くなっているとはいえ、エアリスにしてみればザックスは5年も行方不明だったわけで、そのザックスが今も自分のこと好きでいてくれるなんてよく思えるよな、と(笑)
ここからは蛇足ですが、CCFF7設定だと、時系列的にも無理が出てきてしまうんですよね。
流れで言えば、
- 明らかにザックスとエアリスが友達以上の関係に見える5年前
- ザックス行方不明の間、エアリスは4年間も手紙を書き続ける
- 最後の手紙から1年後、ザックスが命を落とす(エアリスも察知?)
- 数日後(長くても数週間後程度)、クラウドとエアリスが出会う
となって、ザックスの死の悲しみからまだ傷が癒えていなくてもおかしくない時期に、エアリスがソッコーでクラウドに興味を持つ尻軽女になってしまい、かつ元カレザックスに似ているという理由で興味を持ったクラウド相手に「しんだ元カレのザックスが私のこと好きなだけだから、お前の気持ちは勘違い!」とロマンチックシーンでほのめかす、ガチで痛い女エアリスになってしまうのです。
CCFF7設定を踏襲しながら有り得る改変内容を予想するなら、ザックスが亡くなってからクラウドがミッドガルに到着するまで、1年以上かかったとかって設定に改変するとかですかね?
ティファに再会するまでクラウド何してたん?って話になりますけど(笑)
それとも、クラウドがザックスに似ていたからこそ、エアリスは元カレザックスの影を追っていただけとか?
原作厨フィーラーとしては、完全に原作と相反するこの設定はかなり頂けない…。
もしくは、ザックスの行方不明から5年も経っていたためにエアリスの中で既に踏ん切りがついていて、ザックスの死を察知してもすぐに受け入れられたとか。
まさかまさか、本当にエアリス2週目説だと言うのか…。(2週目だからザックスの死も全て受け入れている?)
この辺りはどうなるのか、非常に気になる所です。
……最後に話がだいぶ逸れて長くなりましたが、ともかく以上の理由から、この時点でのエアリスの「好きにならないで」は、クラウドの真実(実は創られた人格)のことまでは示唆しているように思えません。
★クラウドの中にザックスがいるかいないかを徹底検証した考察記事は、こちらから。

「悔しいけど うれしい」
と、いうわけで、自分の最期が現実になると確信してしまったがための「好きにならないで」ではないかと私は考えていますが、そう考えると、更にその後に続く台詞も非常に気になります。
「悔しいけど うれしい」
クラウドにしてみれば、「好きにならないで」なんてめちゃくちゃ一方的な物言いしかされていないのに、
クラウドは怒るどころか気まずそうに視線を逸らすだけで(まさか図星!?)、
「ずいぶん 一方的だな」
しか言いません。
更に、神羅に捕われているエアリスに向かい、
「迎えに行く」
と、宣言します。(クラウドが自発的に決意した!!)
クラウドの言葉を聞いた瞬間のエアリスの表情が、これです。
なにこれ切ない……しかも、なんとも泣きそうな顔で…。
では、エアリスは、一体何が悔しいのでしょう?
「好きにならないで」と直前に言ったにも関わらず、クラウドの「迎えに行く」という言葉に嬉しさが込み上がってしまったことなのか。
それとも、クラウドが神羅ビルまで来てくれることになりそうで、それこそがフィーラーの運命通りになりそうで悔しいと思ったことなのか。
上のエアリスの表情から察するに、前者じゃないかな~と個人的には感じています。
あんな切ない表情しといて救出時はめちゃくちゃアッサリでしたけど(笑)、よく考えたらあれはあくまでクラウドの「夢」なので、エアリスは「好きにならないで」と直接クラウドに言っている事実は無いのかもしれません。
クラウドだけが「好きにならないで」と夢の中でエアリスに言われている形なので、助けに来てくれたクラウドたちにエアリスは普通に「ありがとう」だけで終わるし、クラウドは変な風に意識してしまって「うん」で終わっているだけ、ということだとしたら……クラウド君めちゃ可愛いですね!
1周目は日本語版でプレイして、単純にクラウドとティファの関係がイイ感じだな~と個人的には感じたのですが、2周目を英語版でプレイしてみると、予想以上にクラウドとエアリスの会話が直接的というか、これはかなり恋愛的に意味ありげ!!?という表現が多く、改めてクラウドとエアリスの関係について驚いています。
クラウドはティファとも良い雰囲気なんですが、エアリスが入り込む余地は果たしてあるのでしょうか…。
なんて当初は感じていたけど、いや、普通にあるなと今は思い始めています。
ただ、ダブルヒロインの不公平演出は無くして欲しいなぁというのが本音です。
まとめ
エアリスの好感度が高いと聞ける、「好きにならないで」の意味を考察してみました。
おそらく自分の最期が現実になると確信しているエアリスだからこそ、クラウドとお互いに惹かれる所がありながら、今以上の関係になるまいと必死に自分を抑え込んでいる台詞に聞こえました。
今作のクラウドの態度を見ていると、エアリスともティファとも良い雰囲気のシーンがたくさんありますが、次作以降はどうなることやら…です。
© 1997, 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / ROBERTO FERRARI
LOGO ILLUSTRATION:©1997 YOSHITAKA AMANO
コメントを残す