【大長編・映画ドラえもん考察】「のび太の海底鬼岩城」海底人はなぜ海底で生活できるのか?

 

ドラえもん映画・大長編シリージ第4作目「のび太の海底鬼岩城」で、海底人がなぜ海底で生活できるのかについて考察していきます。

 

大長編ドラえもん のび太の海底鬼岩城

大長編ドラえもん4作目「のび太の海底鬼岩城」は、1983年に映画公開されました。

夏休み、ドラえもんに頼んで海底を旅することにしたお馴染みの一行が、水陸両用の乗り物である水中バギーと共に、地球上全ての生命の危機に直面する冒険物語です。

ドラえもん映画シリーズでは、同じ地球上に住んでいながら違う世界を生きている人間が初めて登場する作品でもあり、子ども心に更に夢が広がった海洋ロマン溢れる作品でした。

*「のび太の海底鬼岩城」については、こちらで存分に語り尽くしています。

【大長編・映画ドラえもん感想】ドラファンが「のび太の海底鬼岩城」を語り尽くす!

 

*以下、映画・大長編のネタバレがありますのでご注意ください*

 

海底人とは

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」121ページより引用

太平洋の海底で生活する、正真正銘の人間……に見えます。

陸上に住む人間が石器時代の頃には既に高い文明を築き、当時で何百という国が存在したほど人口も多かったようですが、現在は大西洋にあったアトランチス連邦領土が壊滅しているため、全盛期よりは大幅に減少していると推測できます。

海中を自由に移動できる戦闘機のような乗り物もあることから、軍事力はそこそこ維持しているようです。

戦闘機はおそらく、地上にも多大な影響を及ぼす鬼角弾を持つ鬼岩城を偵察するのに、必要な軍用機なのでしょう。

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」157ページより引用

信仰するのは「ナバラの神」

偶像を見る限り女神でしょうか。ムー連邦の首相をはじめ、閣僚たちも熱心に信仰していることが窺えます。

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」135ページより引用

町の様子や一般庶民を見ると、映画「のび太の大魔境」に登場するバウワンコ王国のように、中世ローマを連想させる風景です。

かつて存在したアトランチス連邦が遺した自動報復システムのポセイドンは決して性能は良くないものの、アトランチスは世界を滅亡させるほどの威力を持つ鬼角弾を開発、優れた軍事力と科学技術を持っていたと推測できますが、現在のムー連邦の街並みや庶民の生活は、映画公開当時である1980年代前半の陸上世界よりも科学が発展しているとは思えません。

アトランチス連邦と激しく争ったムー連邦ならば軍事力は互角だったでしょうから、つまり、大昔から高い文明を誇りながら、陸上人とは違って科学はさほど発展しなかった模様…?

バウワンコ王国は外敵がいないことで争いも起きませんでしたが、海底では大戦こそ終わったものの、少なからずアトランチス自滅の影響がムー連邦に及んで多方面で打撃を受けたのか…。

確実なのは、何千年も前にアトランチスが自滅した後も、

 

地球を滅ぼす恐れのある鬼岩城の偵察が絶対必須

常に命を脅かす脅威がそこにあるという現状

 

のせいで、科学技術は衰退、もしくは軍事に回すだけで手一杯だったということでしょうか。

*「のび太の大魔境」バウワンコ王国の考察記事は、こちらから。

【大長編・映画ドラえもん考察】「のび太の大魔境」バウワンコ王国の生活レベルが5000年間も向上しなかった理由とは

 

海底人の歴史

海底人は少なくとも石器時代には高い文明を築き、いつの頃からか、太平洋のムー連邦大西洋のアトランチス連邦、二つの敵対する連邦が大戦を始めました。

そして、アトランチス連邦が自ら開発した鬼角弾によって自滅してしまいます。

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」157ページより引用

鬼角弾を有する鬼岩城が臨戦態勢になったのが七千年ぶりということなので、アトランチス連邦が自滅したのも、おそらく七千年ほど前のことです。

以来、ムー連邦はかつて敵対したアトランチス連邦が遺した鬼角弾を恐れ、七千年も戦いに挑み、敗れ続け、現在は鬼岩城が臨戦態勢にならないよう細心の注意を払い続けなければならなくなったのでした。

海底人はなぜ海底で生きられるのか

では前置きが長くなりましたが、海底人の最大の謎に迫ります。

海底人が陸上人と同じ人間であるなら、そもそも、

海底人はなぜ、海底で生活できているのでしょうか。

 

のび太たちがそうしていたように、ドラえもんのひみつ道具であるテキオー灯がないと、我々普通の人間は海底では到底生活するどころか呼吸すらもできません。

どんな環境でも適応させてくれるテキオー灯があることで、のび太たちは海底でも呼吸できていたのです。

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」127ページより引用

しかも、海底人でムー連邦の兵士エルは、テキオー灯を使って大昔から陸上の歴史を見てきたと言っています。

海底深くで生きる生物が地上に来たら、海底でジャイアンとスネ夫の身に起きたような最悪の事態になることは当然で、つまり、

 

海底人は地上に出るためにテキオー灯を使用しているのであって、普段は海底での生活に体が馴染んでいる

 

ということです。

尚更、なぜ人間が海底で生きられるのか!? という謎が残ります。

ヒントはテキオー灯

この謎を解くヒントは、エルたち海底人も持っている、テキオー灯です。

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」107ページより引用

テキオー灯の効果が切れかけているジャイアンたちに、海底人たちはテキオー灯を使ってくれます。

つまり、

 

ドラえもんが持っているテキオー灯と同じ機能を持つ、使い方も同じ光線を放つ機械を、海底人も持っている

 

ということです。

海底人が海底で倒れている陸上人であるジャイアンたちに驚くのは当然ですが、そんなジャイアンたちにすぐにテキオー灯を使っている様子を見ると、どうやら彼らはテキオー灯を常に携帯しているようです。

体が海底に馴染んでいるのに海底人がテキオー灯を携帯しているのは、海底を偵察中に地上に上がる必要性が出てくることもあるから、でしょうか。

地上に上がるためのテキオー灯ですから、その効果は無期限ではないと推測できますし、つまり彼らが持つテキオー灯は、

 

何から何までドラえもんが持っているテキオー灯とまるで同じ機能

 

なのです。

海底人の起源は……

海底人が持つテキオー灯と、22世紀の未来からやって来たドラえもんが持つテキオー灯

同じ用途で使う二つの道具の共通点から、ある仮説が生まれます。

それは、

 

海底人の起源は、未来人

 

というものです。

ドラえもんと同じ未来からやって来た人間が、石器時代より以前の過去に遡り、未来のひみつ道具であるテキオー灯を使って、海底に人間が住める世界を造ったのです。

未来人が海底王国の礎を築いたのだとすれば、違う文化を辿ったはずの陸上人と海底人が、なぜ同じ用途の道具を持っていたか、説明ができます。

要は、

 

テキオー灯は陸上世界の未来人が海底に持ち込んだ道具

 

だったのです。

 

歴史が変わるような行為をしたらタイムパトロールが黙っちゃいないと思われますが、以降ドラえもんたちも、

  • 「のび太と竜の騎士」
    →地下に恐竜の世界を造ったきっかけを作る
  • 「のび太のパラレル西遊記」
    →一度は人間世界を妖怪世界にする
  • 「のび太のワンニャン時空伝」
    →進化銃によって犬と猫の王国ができるきっかけを作る

などなど色々とやっちゃっていながら、どれもお咎めはありません

「のび太のドラビアンナイト」では、未来人の時間旅行者がシンドバッドに時代にそぐわない不思議な道具をたくさんプレゼントしていますが、やはり特にお咎めはないようです。

未来の法律である航時法の詳細は不明ですが、

 

ひみつ道具を個人だけで楽しむ

地上の人間世界に害をなさない

自分たちで歴史を修正できる

 

これらの条件があれば、タイムパトロールが遵守する航時法の逮捕要件に当てはまらない……のでしょう。(でなければドラえもんはじめ、のび太や静香は逮捕されていてもおかしくない)

未来人が石器時代当時以前の人間を海底に招き、未来の科学技術を使って海底のみで急速に文化を発展させただけなのだとすれば、のび太たちと同じことをしても当然逮捕されることはなかったのです。

 

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.4 のび太の海底鬼岩城」125ページより引用

海で誕生した生物は、陸に上がってから進化の過程で再び海に戻った生物もいて、その中には海底人もいる、というのが海底世界の教えのようですが、それも未来人による教育だとすれば納得です。

はじめはテキオー灯で海底での生活を可能としていた人間も、進化の過程で海底でも生活できる体を手に入れ、逆に地上に出る際にテキオー灯を必要とするようになったのです。

まとめ

ドラえもん映画・大長編シリージ第4作目「のび太の海底鬼岩城」で、海底人はなぜ海底で生活できるのかを考察してみました。

未来のロボット、ドラえもんが所有するテキオー灯を海底人も持っているという点から、

未来人が海底王国をつくった

という、ひとつの仮説が浮かびます。

すこしふしぎなお話をたくさん描いてくださった藤子先生の作品に対してすこぶる野暮な考察ですが(笑)、物凄い水圧がかかる深海でありながら陸上で暮らす人間と同じ形状で生活できていることを鑑みると、深海魚のように自然に進化した生物とは到底考えられず、未来の道具を使った中で進化を遂げていったのでは…と考えられます。

はじめは未来人がきっかけでも、海底王国は独自の発展を続けながら何千年も前に大戦を繰り広げ、火山にも反応する性能の悪い自動報復システムが搭載されている恐ろしい兵器を現代に残しましたが、結果的にドラえもん一行……もっと言えば静香ちゃんと親交を深めたバギーちゃんがポセイドンを破壊してくれたので、タイムパトロールもスルーしてくれたのでしょうね。

*「のび太の海底鬼岩城」については、こちらで存分に語り尽くしています。

【大長編・映画ドラえもん感想】ドラファンが「のび太の海底鬼岩城」を語り尽くす!

*ドラえもん映画考察記事、「のび太の恐竜」で使用したタイムふろしきについては、こちらから。

【大長編・映画ドラえもん考察】「のび太の恐竜」で、ドラえもんはなぜタイムふろしきを使用しなかったのか?

*ドラえもん映画考察記事、「のび太の大魔境」バウワンコ王国については、こちらから。

【大長編・映画ドラえもん考察】「のび太の大魔境」バウワンコ王国の生活レベルが5000年間も向上しなかった理由とは

 

海底鬼岩城と言えば、水中バギーの活躍は見逃せません。

当然、原作も最高に面白いです。

80年代のドラえもん映画ファンなら、こちらがオススメです。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です