【FF7R考察】テーマ曲「Hollow」を徹底考察! 歌詞にある「あなた」は一体誰のことなのか?

 

FFⅦ REMAKEのテーマ曲である、「Hollow」の歌詞にある「あなた」は誰なのか?を考察してみました。

 

*以下、FFⅦの重大なネタバレがあります! FFⅦ関連のゲームを未プレイの方はご注意ください*

 

「Hollow」はどのように作られた?

FFⅦ REMAKEのテーマ曲「Hollow」は、FFシリーズファンにはお馴染み、植松伸夫氏が作曲されています。

ボーカルは、Yosh氏。
ロックバンドSurvive Said The Prophet(通称サバプロ)のボーカリストさんです。

作詞も、やはりFFシリーズファンにはお馴染みの、シナリオライターの野島一成氏。

野島氏は、原作のFFⅦはもちろん、REMAKEのシナリオも書いていらっしゃっることもあり、「Hollow」はFFⅦの内容に沿った歌詞であることが窺えます。

 

野村さんからは“クラウド視点”、“雨の中たたずむ”というキーワードをもらいました。私の中では“何か大切なものをなくしてしまった男の歌”と解釈して書いています。

 

音楽関連インタビューその6:野島一成氏/ファミ通.com より引用

 

作詞をした野島氏によると、「Hollow」は主人公のクラウド視点ということです。

更に、

“雨の中をたたずむ”

“大切なものをなくしてしまった男の歌”

ということで、何やらクラウド視点による切ない歌であるようですね。

 

日本語の仮のタイトルは『空っぽの雲』でした。この歌詞を作るときに真っ先に浮かんだフレーズです。

~中略~

やはり“空っぽ”(Hollow)ですね。それがすべての始まりです。

 

音楽関連インタビューその6:野島一成氏/ファミ通.com より引用

 

クラウドが“空っぽ”(Hollow)になってしまった歌…?ということでしょうか。

やはり切ない歌のようです。

また、プロデューサーの北瀬佳範氏によると、

 

ミッドガルを脱出してエンディングを迎える事は決まっていて、ミッドガルの端の荒野に立った時に雨が降って来て、その時クラウドがどういう心情なのか、とだけをお伝えして野島さんと植松さんにそれぞれ作詞と作曲をお願いしました。

 

『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』サウンドトラック発売記念!植松伸夫氏、野島一成氏、北瀬佳範氏テーマソング「Hollow」インタビュー/mora より引用

 

野島氏が仰ってたように、テーマ曲には、“雨”に加えて、“エンディングでミッドガルの荒野に立った時”と言うキーワードもあることがわかります。

更に、作曲を手掛けた植松氏は、

 

この場面って、グッと来ちゃいけないんじゃないのかなと思ったの。それよりも、サウンドでクラウドの不安感を出したかった。

~中略~

最初のC(#11)の和音に加え、サビのメロディもそんなに展開が無くて、音程が上がる方向と、ちょっとした叫びとまでは行かないけど、そう言う所の痛々しさが出れば良いなって感じです。

 

『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』サウンドトラック発売記念!植松伸夫氏、野島一成氏、北瀬佳範氏テーマソング「Hollow」インタビュー/mora より引用

 

 

「この場面」というのは、私は北瀬氏が仰っていた、“ミッドガルの端の荒野に立った時”と、推察しました。

最初に挙げたキーワード“雨”に加えて、

“クラウドの不安感”を出したかった

“叫びまでは行かないけど痛々しさ出れば良い”

ということで、やはり、何やら辛そうなクラウドの心情を表現したことがわかります。

クラウドは何をなくしたのか?

「Hollow」がクラウド視点の切ない歌なのはわかりましたが、では、この歌は誰に宛てられた歌なのか?

無粋ながらも考察していきます。

作詞をされた野島氏は、

 

言葉を尽くして説明できるわけではないので、受け手の皆さんの解釈の幅がとても広くなります。ですから誤解される覚悟も必要ですね。覚悟を決めることがもっとも難しいかもしれません。

 

音楽関連インタビューその6:野島一成氏/ファミ通.com より引用

 

と仰っていて、まさにプレイヤーの数だけ解釈も様々でしょうし、野島氏の考えている歌詞の意図を正しく読み取れるかは自信ないですが、私なりに考察頑張ってみます! m(__)m(先に全力土下座)

ちなみに、「Hollow」は英語で歌われていますが、元々は野島氏が日本語で書いた詞を英訳したものなので、本記事では日本語の歌詞を元に考察していきます。

「Hollow」の冒頭歌詞は、

 

漂い 流れて

迷った 時でも

あなたの 輝く

笑顔が 導く

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

とあり、「あなた」のワードがあることから、ここを直接的に意味を受け取れば、何度も申し上げているように、

 

「クラウドから誰かに宛てた歌なのでは?」

 

と推察することができます。

「Hollow」は、“クラウド視点”の、“大切なものをなくしてしまった男の歌”であり、詞の最後には

 

「あなたは いない」

 

のフレーズもあることから、単純に考えれば、

 

「大切な人をなくしたクラウドの歌」

 

ということになります。

 

この大切な人の輝く笑顔が、クラウドを導いてくれるのです。

 

では、FF7Rのエンディングの時点で、クラウドがなくした大切な人とは、一体誰のことなのか?

クラウディア・ストライフ

クラウドの身近で亡くなった人、と考えると、まずはクラウドの母親、クラウディアさんです。

クラウドはセフィロスによって故郷を焼かれ、その時に自分を育ててくれた母親も命を落としています。

母子仲は険悪ということはなく、クラウディアさんは上京した息子が帰って来れば温かく出迎え、息子のクラウドも思春期っぽい対応ながらも素直に母の優しさを受け入れています。

今時点ではジェノバ細胞の影響で記憶が混濁しているクラウドも、母上が亡くなっていることは覚えているようなので、まずはクラウディアさんが候補の一人だ!とも思いましたが、「Hollow」のコンセプトでもある

“雨の中をたたずむ”

“ミッドガルの荒野に立った時”

とはイメージがかけ離れているので、クラウディアさんは「Hollow」の「あなた」ではないことがわかります。

ザックス・フェア

次に挙げられるのが、クラウドの親友であるザックスです。

CCFF7のエンディング、つまり本編が始まる前に、ザックスはクラウドを守りながら、大量の神羅軍に襲われ命を落としています。

故郷のニブルヘイムでは友達もできずに孤独でいたクラウドが、ソルジャーのザックスと親友とも言える間柄になれたことを考えると、もちろんザックスもクラウドにとっては大切な友人だったことは間違いないでしょう。

FF7Rのエンディングでは「ザックスが生きているかも!?」という描写もありましたが、少なくともエンディングでザックスの存在を感じ取っていたのはエアリスだけであり、クラウドはまだ何も知りません。

★ザックスは生きているのか?

【FF7R考察】ザックスとジェシーは生きている?

また、リメイクでもクラウドはザックスのことを何も覚えておらず、あの時点で彼を亡くしていることも覚えていないことを踏まえると、「Hollow」の「あなた」の可能性は低いのかな、とも思います。

 

ただし!

 

例えば、「クラウド2周目説」を当てはめるとしたら、考えられなくもないですね。

無意識ながらザックスの生涯を心の奥底で覚えていれば、親友であるザックスへ宛てた歌とも考えられます。

エアリス・ゲインズブール

最後に可能性としてあるのが、エアリスです。

本編では一緒に旅をして最後はクラウドのことを想って一人祈りを捧げに行ったエアリスのことは、当たり前ですがクラウドにとっても大切な人だったことは間違いありません

エアリスはリメイク第一弾ではまだ亡くなっていませんが、原作通りこのままストーリーが進めば、今後確実に命を落とします。

ザックスと同じく、エンディングの時点で生存しているとすればエアリスの可能性は無いですが、ザックスの所でも申し上げた、「クラウド2周目説」「未来予知説」があるとするなら、エアリスも充分に可能性があります。

2周目であれば一度はエアリスの死を経験していますし、未来予知ができるならばこの先彼女が亡くなることをどこかで予見しているからです。

歌詞から考えてみる

では、「あなた」がザックスかエアリスであると仮定しながら、次の歌詞を考えていきます。

癒してくれるのは?

次の歌詞は、

 

傷つき 倒れて

打ちひしがれても

あなたに 触れたら

すべては 癒され

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

要約してしまうと、

「どんなに傷ついてもあなたが私を癒してくれる」

ですね。

この部分を見ると、エアリスの方が可能性として強いように受け取れます。

エアリスは原作でもリメイクでも魔法を得意とするキャラで、リミット技は「癒しの風」をはじめとした仲間を回復してくれるものが多く、究極リミット「大いなる福音」はその最たる技です。

リメイク本編でも、エアリスは魔晄中毒の男に掴まれ動揺するクラウドの手を握り、落ち着かせて(癒して)くれていました。

 

「いらっしゃいませー!」

 

で特攻していくザックスよりは、エアリスは身体も心も「癒して」くれる存在として、クラウドにもプレイヤーにも深く印象付けられているのではないでしょうか。

抱きしめたかったのは?

次の歌詞から、気になる点が多くなります。

 

浮かれてた? そうかもな

何も 知らずに

気づくのが 早ければ

抱きしめられたかい?

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

私は、「浮かれてた?」を、そのまま「一緒にいられて浮かれていた」という意味なのだと受け取りました。

ザックスでもエアリスでも、この部分は当てはまりますね。

故郷で孤独に過ごしていたクラウドはようやく親友ができて嬉しかったでしょうし、エアリスとも、リメイク本編では最初は警戒していても少しずつ心を開いていく描写が丁寧に描かれていました。

初対面では、

「面倒だな」

と吐き捨てていた男が、

共闘して勝利すれば自ら自然とハイタッチ!ですからね。

 

「気づくのが早ければ 抱きしめられたかい?」

は、そのまんま、原作を知っているとエアリスをすぐに連想してしまう方が多いのではないでしょうか。

原作でもリメイクでも、クラウドがエアリスを抱き締めるシーンはひとつもありませんでした。

ただしそうなると、「クラウド2周目説」「未来予知説」が濃厚となってきます。

「クラウド2周目説」ならば、忘らるる都に行く前のエアリスの真意に気付けていたら、とか、もっと早く駆けつけていれば、とか、後になって色々考えてしまったでしょう。

そんな後悔を、潜在的に心の底に秘めていたら…。

また「未来予知説」も、無意識にでも、もっと早くに未来を知ることができていれば助けられたのでは?と、どこかでエアリスの死を察知していれば、有り得なくはないです。

リメイク本編でも、忘らるる都で祈るエアリスが残像でチラついたり、原作未来のようなワンシーンがありましたしね。

 

また、この部分はザックスにも当てはまりますね。

エアリス同様に「クラウド2周目説」を取ると、もっと早く目覚めていれば…と後悔することもあったでしょう。

ここはザックスの台詞でもある、

 

「夢を抱きしめろ」

 

から、「“夢”を抱きしめられたかい?」という意味にもなりそうですが、もし“夢”を指すなら、気付くのが遅くてもこれからでも抱きしめられるのでは?とも思うので、ちょっと意味合いが違ってくるような気がします。

もう一度笑って離したくないのは?

サビの部分です。

 

もう一度 輝け

一度でいい 見つけるから

もう一度 笑って

今度は 離しはしない

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

後悔が滲み出ている歌詞ですね。

「今度は」とあることから、以前は離してしまったのでしょう。

親友のザックスにもエアリスにも、当てはまる言葉です。

 

「一度でいい 見つけるから」

の部分が難解で、これって約束の地のことなのかな?とも思ったり(原作エンディングでは「そこで会えると思うんだ」とクラウドが発言している)、忘らるる都でのあの瞬間までに絶対駆けつける!という意志なのかな?とも思ったり…。

 

またここでも、ザックスの名台詞でもある

 

「どんな時でも、ソルジャーの誇りは手放すな」

 

から、「今度は離さない」は「ソルジャーの誇り」のことなのかもしれないとも思いましたが、クラウドはソルジャーではなく一度も「ソルジャーの誇り」を持ったことがなかったでしょうから、「ソルジャーの誇り」だとすると少々不自然かな、と。

もしくは、CCのエンディングではまだぼんやりとした意識の中、戦いに行くザックスの後姿に手を伸ばすクラウドの映像があり、これがザックスに対しての、

「今度は離さない」

という意味なのかもしれんが、正直あの時のクラウドの立場ではザックスの手を離さなくても、

「“クラウドが”ザックスを守る構図」

にはならず(むしろ目覚めた所で余計にザックスの邪魔になるのでは?)、そう考えると、一度はボディーガードを頼まれた

 

「“クラウドが”守る関係」にあるエアリス

 

の方が当てはまります。

隠された秘密を持っていたのは?

2番に入ります。

 

笑顔には 隠された

秘密が あったね

でも 俺は空っぽで

求めて ばかりで

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

「笑顔に隠された秘密」となれば、真っ先にエアリスが浮かびます。

彼女は自分が世界でたった一人の「古代種」であることを、原作でもリメイクでもCCでも、自ら誰かに打ち明けたことは一度だってありません。

誰よりも、「普通」でいたかったからです。

エルミナさん曰く、「よほど信頼していないと」エアリスは自分の秘密を打ち明けなかったようで、クラウドとは打ち解けていたように思えましたが、そのクラウドにすら自身の出生については語らず、それは初恋の相手ザックスに対しても同じでした。

 

これに対して「俺」=クラウドは、「空っぽ」で、「求めてばかり」いたわけです。

「Hollow」のキーワードでもある「空っぽ」、これを私は、リメイク第一弾ではジェノバ細胞の影響で絶賛魔晄中毒中(偽人格)のクラウドのことなのだろう、と推察しました。

自分を恥じて真実から目を背け、理想のソルジャーだと思い込んでいるだけの空っぽのクラウドは、1番歌詞にあったように、

「あなたに触れたら癒されて」、

「(一緒にいられて)浮かれていた」

のだとすると、「求めてばかりで」の意味がわかります。

つまり、

「俺はあなたを癒せていないし、何も与えられていない」

という意味です。

更に、原作のデートイベントでは、

 

「あなたに会いたい」

 

と、ソルジャーになれずに自分を恥じた“クラウド自身”にも「会いたい」と言ってくれたエアリスです。

自分を取り戻した後に、クラウドがエアリスのこの台詞を思い返したとすれば……「求めてばかりで」の意味がより深くわかるような気がします。

★エアリスは誰に恋をしたのか?

【FF7R考察】エアリスが好きなのはザックスか、クラウドか

涙の跡は誰のもの?

2番サビ…どんどん切なくなってきます。

 

もう一度 頼むよ

笑顔を 見せて

もう一度 今度こそ

涙の跡に 気づいてみせる

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

「もう一度」というフレーズは歌全体で4回出てきますが、それまでの「もう一度」の後は「笑って」とか「頼むよ」とか、歌い手からの“お願い”に終始していたのが、最後の「もう一度」の後に続くのは、

「今度こそ」

です。

「次こそは絶対に、涙の跡に気づいてみせる!」

という強い意志を感じます。

この「涙の跡」も、言わずもがなエアリスのことかな、と。

原作では瀕死のツォンの前で初めて、エアリスは涙を流しましたが、クラウドに背を向けて見られないようにしていました。(クラウドが「泣いてるのか?」と訊いていたくらいなので)

リメイクでは、列車墓場でのエリゴル戦前に、幼い頃のトラウマ?を触発されて一人涙を流したシーンがありましたが、クラウドが助けた時は泣き止んでいた状態でした。

おそらく、続編で更に、一人で涙を流すエアリスのシーンがあるでしょう。

ザックスはCCではエアリスの前で涙を流していましたが、クラウドの前では泣いたこともなければ涙を見られまいといった描写も特になかったため、「涙の跡」もザックスではないと考えられます。

あなたはいない…

最後の大サビです。

 

ああ わかるよ

あなたは いない

でも 俺は

叫び続ける

空っぽだから

 

FF7R オリジナルサウンドトラック ブックレットより引用

 

「あなたはいない」!!

そう、“クラウド視点”から見た「あなた」はもういないのです。

せっかく「今度こそ」と決意新たにしても、肝心の「あなた」はもういない…。

そして、

「でも俺は空っぽだから叫び続ける」

のです。

大切な「あなた」を失って「空っぽ」になってしまった「俺」は、何かを埋めたいがためにただ叫び続けている、ということでしょう。

この一節だけを見れば、「あなた」はザックスに決定!なんですけど、歌詞全体を見ると、

 

「クラウド2周目」で「涙の跡に気づいてみせる」と「俺」に決意させた「あなた」

=エアリス

 

で、ピッタリと当てはまるんですよね…。

ちなみに、残念ながら最後のこのフレーズで、「未来予知説」の可能性はなくなりました。

「Hollow」のコンセプトを今一度おさらい

「Hollow」の歌詞をひとつずつ考察した結果、どうやら歌い手=クラウドから見た「あなた」は、エアリスである可能性が高いことがわかりました。

しかし、最後に一応「Hollow」のコンセプトをおさらいしてみます。

「Hollow」は、

 

  • クラウド視点
  • の中をたたずむ
  • 大切なものをなくしてしまった男の歌
  • 空っぽ
  • エンディングでミッドガルの荒野に立った時のクラウドの心情
  • 不安感
  • 叫びとまではいかない、痛々しさ

 

…ということで、全体的にクラウドにとっては辛い歌であることがわかります。

正直、私はこのコンセプトだけを見た時は「ザックスのことやん」と思いました。

しかし、歌詞とも照らし合わてみると、ザックスよりもエアリスっぽいなと思うようになり…。

では、「あなた」がエアリスだとしたら、これらコンセプトに当てはまるのでしょうか?

わかりにくい所だけピックアップして、考えてみます。

リメイクのエンディングでも降ってきた雨は、ACやCCのエンディングでも降っていました。

特にACでは、エアリスの声と同時にクラウドとカダージュを癒すかのような雨が降り始め、その雨は星痕症候群を治す雨でもありました。

原作のエアリス究極リミット技「大いなる福音」を思わせる、癒しの雨です。

リメイクのエンディングでは、エアリスの

「空、嫌いだな」

の台詞もあり、癒しの雨というイメージは薄いですけど、雨とクラウドとエアリスは関連性があります。

荒野と不安と痛々しさ

「Hollow」は、ミッドガルの荒野に立った時に雨が降ってきて、その時のクラウドの心情を表現しています。

その時に、不安痛々しさも出ていれば良いと、作曲を手掛けた植松氏は仰っていました。

つまり、

 

クラウドが雨の中で荒野に立った時、彼は不安を感じ、(叫びとまではいかない)痛々しい心情

 

だったのです。

 

ここで疑問なのが、

 

クラウドは一体何を不安に思っていたのか?

 

です。

「いつ」荒野に立ったのかと言えば、北瀬氏が仰ってたようにリメイクのエンディング時でしょう。

そうなると、普通に考えればミッドガルを出てからの読めない旅路に対する不安なのでしょうが、それだけで痛々しいまでに不安に感じるのでしょうか?(仮にもクラウドはこの時、戦に慣れた“元ソルジャー”です)

ちなみに不安とは、

 

不安とは、心配に思ったり、恐怖を感じたりすること。または恐怖とも期待ともつかない、何か漠然として気味の悪い心的状態や、よくないことが起こるのではないかという感覚(予期不安)である。

 

不安-Wikipediaより引用

 

ということで、過去にやらかした出来事で心配や恐怖を感じることもあれば、未来に起こるかもしれない出来事にも心配や恐怖を感じる感覚のことを言います。

では、クラウドが荒野に立った時に、「過去にやらかして不安になること or 未来に対して不安になること」は、一体何だったのでしょうか。

クラウドの過去に対する不安

まず、リメイクエンディング時点でのクラウドの過ちを考えてみます。

クラウドの過ち

“エンディング時点”というのを前提に考えると、私はすぐに思い浮かびませんでした。

七番街崩壊はクラウドにも多少責任はあるかもしれませんが、あくまで依頼されたものであり、彼は七番街スラムにもさして愛着は無かったはずです。

強いて挙げれば、打ち解けかけたアバランチメンバーの死、ですかね…?

ジェシーが息を引き取る寸前の、クラウドのこの表情。

後になって彼女らアバランチメンバーを思い出すならば、不安よりも後悔や悲しみじゃないでしょうか。

ザックスのことはこの時点でクラウドは忘れてしまっているので、彼の死を後悔することも不安に思うことも無かったはずです。

仮に心のどこかでザックスのことを覚えていたとしても、やはりそれは罪悪感や後悔だと思います。

クラウドが2周目なら?

では、クラウドが「2周目説」だとすれば、どうか。

ザックスの死についてはACでも強い罪悪感を感じていたクラウドなので、先程も申し上げたように、潜在的にザックスを覚えているなら不安よりも罪悪感や後悔が先に立つでしょう。

また、コンセプトだけを見れば確かに「あなた」はザックスが適切なのですが、

 

「今度は 離しはしない」
「笑顔には隠された 秘密があったね」
「涙の跡に 気づいてみせる」

 

この辺りの歌詞は、どうもザックスには当てはまりません。

クラウドの未来に対する不安

次に、リメイクエンディング時点でのクラウドの未来に対する不安です。

ここからは未来に対する不安の話になるので、「クラウド2周目説」が前提となります。

クラウドの予期不安

「未来に起こる出来事」でクラウドが不安に思うことと言えば、仲間であるエアリスの喪失がすぐに頭に浮かびます。

もしくは、竜巻の迷宮で自分を失い精神崩壊したことでしょうか。

しかし考えるまでもなく、「Hollow」は“自分を失ったこと”を歌った歌ではないでしょう。

仮に「自分」=「あなた」で、「あなた」がいなくて「空っぽ」で「叫び続ける」のだとしたら、それまでの歌詞のあちらこちらで違和感が生じますし、何よりも歌詞の最後で、

 

「あなたは いない」

 

とあるので、今もなお「自分」を失っていることになります。

リメイクエンディングの時点ではある意味まだ「自分」を失った状態ではありますが、“「自分」を失った状態で、かつ「自分」を失っていることにすら気付いていないクラウド”が、「Hollow」になることは有り得ません。

また、「2周目」のクラウドがまだ「本当の自分」を失っているとすれば、

“原作のエンディングすらも迎えていない状態のクラウド”が歌っている?

か、

“原作エンディングを迎えても未だ「自分」を見失っているクラウド”

いうことになり、クラウドの人格がブレブレになってしまって、

 

「本当の自分を取り戻す物語」でもあった原作FFⅦの世界観をぶち壊す結果

 

となるので、「2周目」設定でも有り得ないでしょう。

エアリスを失うことによる不安?

「あなた」は「自分」ではないとわかったので、次は、これからの未来に起きるエアリスの喪失で考えてみましょう。

「クラウド2周目」で、かつ「潜在的にエアリスの死を察知している」となると、どうでしょうか。

本編でも、何度かそれらしきシーンがありました。

伍番街スラムの教会でエアリスと再会した時、彼女の後姿を見ただけで、クラウドは頭痛と共に忘らるる都の映像が断片的に映ります。

更にその後も、前を歩くエアリスの後姿を見ただけで、この後クラウドは原作で経験した「チリカラ」を追体験。

最後のフィーラー戦の時にもエアリスの水葬シーンが出てきたり、原作エアリスの未来を、クラウドはフラッシュバックのように目撃しています。

何よりも、歌詞の「あなた」がエアリスだとすれば、内容がほぼ当てはまります。

つまり、

 

雨の中荒野に立っている、原作の結末を無意識ながら潜在的に知っているリメイクのクラウドが、この先起こり得るエアリスの喪失を痛々しいほどに不安に感じ、「あなた」=エアリスがいない世界を生きた原作クラウドの気持ちを歌っている

 

のです。

消去法ではありますが、「あなた」=エアリスで考えると、コンセプトと照らし合わせても大きな矛盾がなくなるのです。

まとめ

FFⅦ REMAKEのテーマ曲、「Hollow」を考察してみました。

コンセプトだけを見れば、歌詞中にある「あなた」はザックスのことかとも思いましたが、歌詞も見てみると

 

(クラウド2周目前提で)「あなた」はエアリス

 

だろうと感じました。

個人的に2周目設定はあまり好きじゃないので他の可能性はないかなと頑張ってみたんですけど(苦笑)、“クラウド視点”、“リメイクエンディングで荒野に立った時”という大前提がある以上、ループものではないとなると、歌詞中にある「あなた」に該当する人物がいなくなるんですよね。

これがクラウド2周目だとすれば、クラウドが「エアリスの喪失経験あり」ということになり、そもそも歌詞を見ればほとんどがエアリスを暗に指している文言ばかりで、最後の「あなたはいない」にも矛盾がなくなります

もちろん、これは私個人の解釈であり、絶対に正解ではないのであしからず!

 

「Hollow」も収録されているオリジナルサントラは、なんとCD7枚組です。

 

 

 

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