逆転裁判・蘇る逆転から、第3話「逆転のトノサマン」を、割と本気のガチ考察をしていきます。
*以下、ゲーム内の重大なネタバレ(犯人等)が盛り込まれているので、未プレイの方は要注意!*
「逆転のトノサマン」とは
逆転裁判シリーズ「逆転裁判・蘇る逆転」の第3話です。
子ども向け人気番組「大江戸戦士トノサマン」ヒーロー役の荷星三郎が悪役アクダイカーン役の衣袋武志のサツ害容疑で逮捕され、トノサマンの大ファンである綾里真宵の勧めもあって、主人公・成歩堂龍一が荷星氏の弁護を務めることになります。
今回は、逆転裁判シリーズで初めて最初から犯人がわからないパターンのお話でした。
物語を進めて行くうちに、徐々に徐々に犯人がわかっていきます。
★チュートリアル的な、第1話「はじめての逆転」の考察記事はこちらから。
【逆転裁判】第1話「はじめての逆転」を考察! 犯人と被害者がそれぞれやらかしてしまったミスとは?★こちらも犯人が最初からわかる、第2話「逆転姉妹」の考察記事はこちらから。
【逆転裁判】第2話「逆転姉妹」をガチ考察! 御剣検事はなぜ被害者の実の妹を起訴したのか「逆転のトノサマン」をガチめに考察
では、おとぎ話的な雰囲気がある逆裁シリーズを、無粋とはわかっていながら割と本気のガチ考察します。
トノサマンを撮影している英都撮影所の第1スタジオにて、遺体で発見された衣袋武志。
彼はアクダイカーンの着ぐるみを着て、胸にトノサマン・スピアーが刺さったままの状態で発見されました。
トノサマン・スピアーは劇中でヒーローが使う武器で、一般人では扱うのが難しく(アニメでは15kgとのこと)、普段からトノサマン・スピアーを使いこなし、唯一現場に行けたアクション俳優の荷星氏が犯人である……というのが検察側の見解でした。
が!
真相は、遺体発見現場の第1スタジオではなく、もうひとつのスタジオである第2スタジオにて、衣袋が姫神サクラによって階段の上から突き落とされ、花壇の鉄柵に胸が貫いて絶命してしまったのです。
被害者である衣袋が、長年自分をいいように扱ってきたプロデューサーの姫神サクラを始末すべく、荷星に罪を着せるためにトノサマンの着ぐるみを着た状態で、自ら本当の犯行現場である第2スタジオに向かっていた
というのが、今事件のミソでもありました。
証拠の隠滅が神業
というわけで、遺体発見現場と、実際の犯行現場が違った今回の事件。
完全な被害者だと思われた衣袋が、自らサツ害しようとした姫神サクラに階段の上から突き落とされ、鉄柵に胸が突きささり絶命する、というのが真相でしたが…。
姫神の立場からすれば、突然自分を襲ってきたトノサマンを突き落として絶命させてしまえば、気が動転してしまったとしてもおかしくないはずなのに、その後の処理はまさに冷静沈着でした。
自分の言うことを聞く宇在カントクに協力させたとはいえ、身長184センチもあるアクション俳優を鉄柵から抜いて、ひとまずは人目につかないライトバンに運びます。
それも、たった15分間の休憩の間に。
第2スタジオのコテージで会議をしていた姫神は、ちょうど午後2時半から15分間だけ休憩に入っており、これは撮影所のおエライさんも含めた会議なので、この時間は正確でしょう。
更に、鉄柵から遺体を抜いたならば出血も相当だったはずで、鉄柵が打ち込まれている土台はコンクリートのようにも見えますし、そう考えると流れた血液の痕跡がハッキリわかってしまいます。
会議が終わった午後4時まで遺体と出血の痕跡を放置したら、会議に出席していた宇在カントク以外のおエライ方々に目撃される恐れがあるので、遺体の他に、少なくとも血液の痕跡も隠滅しなければなりません。
一見すると第2スタジオには外付けの水道がないように見えますが、何らかの方法で、姫神や宇在は鉄柵付近の血液を洗い流したと考えられます。
これが計画的な犯行なら、15分間の短い時間でも可能だった、と即答できますが、
今回の事件はあくまで衣袋による姫神サツ害計画が始まり
ですから、想定外の事態とはいえ、姫神による迅速な宇在への指示と行動がとにかく的確だった…ということになるでしょう。
証拠隠滅に、“プロ”を使った可能性は?
なんでもモミ消す“プロ”を手足として使える姫神なら、今事件の証拠も“プロ”にモミ消して貰ったのでは?
という疑問も残りますが、
姫神が証拠の隠滅に“プロ”を使った可能性は無い
と考えられます。
その理由として、
事件発生時、“プロ”の方々は現場にいなかった
と推測できるからです。
もし、モミ消すことが得意の“プロ”の方々が衣袋が絶命した時間に撮影所にいたなら、姫神は真っ先に彼らに証拠をモミ消すことを依頼したでしょう。
弁護士である成歩堂くんですらも裁判に出られなくしようと、一度は「始末を頼んだ」姫神ですから、衣袋の遺体だって、躊躇なく“プロ”の方々に「始末」させたはずです。
“プロ”の方々に「始末」を頼めば、制限時間15分の縛りもなく、肝の据わった姫神ならば、悠々とホネつきステーキを食べていたとしてもおかしくありませんし、衣袋の死の直後でステーキは食べられなくとも、一番肝心な「遺体の運搬」や「血痕の隠滅」はしなくて良かったわけです。
午後4時過ぎまでサルマゲドンによって第2スタジオを通じる道は塞がれていましたが、4時以降に“プロ”の方々がさっさと現場から遺体を撮影所の外に運べばいいだけの話になります。
わざわざ遺体を第1スタジオまで運ばせて偽装なんてことしなくても、モミ消すのが仕事の“プロ”に完全に遺体を始末して貰うことが、一番確実で手っ取り早い方法だからです。
しかし、遺体は第1スタジオに運ばれ、わざわざアクダイカーンの着ぐるみにまで着替えさせられていました。
このことから、
事件発生時である午後2時半頃には“プロ”は現場におらず、姫神(と宇在カントク)だけで証拠の隠滅をしなければならなかった
ことが窺えます。
「英都撮影所の人間は、思いやりがあってね。会議をしていたアタクシたちが犯人のハズはないからって、かばってくれたの」
「(よく言うよ……。会議に出ていたのは、おエラいさんに、スポンサー……。どうせ、例の“プロ”でも使ったんだろう……)」
事件後の警察からの取り調べを逃れた理由を、姫神はこう説明していました。
それに対し、実際に“プロ”の方々から危険な目に遭いそうになった成歩堂くんは、懐疑的な感想を持ちます。
撮影所の皆さんがそこまでして姫神を庇ったのは、敏腕プロデューサーの姫神の権力もあるでしょうが、姫神が“プロ”と繋がっているのは警備員のオバチャンですらも知っている公然の秘密であり、成歩堂くんの予測も正しいのだろうと推測できます。
つまり、
事件当日、“プロ”の方々が英都撮影所にやって来たのは、第1スタジオで遺体を発見した午後5時前後
だったということも同時に推測できます。
午後2時半に衣袋を鉄柵に突き落とした姫神は、ひとまず遺体と血痕を隠滅した後か、もしくは午後4時の会議終了後に“プロ”に連絡を取り、撮影所まで来て貰うようにしたのでしょう。
5時からはリハーサルもあったために、プロデューサーの姫神とカントクの宇在が撮影所から出ることは躊躇われ、あのような形で遺体を偽装するしかなかったのです。
遺体のムジュン
さて、話を衣袋の遺体に戻します。
午後4時に会議が終わった後、おエライさんたちが去った後に姫神がやらなければいけなかったのは、衣袋の遺体の偽装工作です。
トノサマンの着ぐるみを隠滅して、ライトバンでリハーサルが始まる5時より前に、一足早く第1スタジオへ。
そこで遺体にアクダイカーンの着ぐるみを着せてから、トノサマン・スピアーで胸を突き刺す…。
文字だと簡単そうですが、これはまた大変な作業です。
なんてたって、被害者の衣袋は体格が良い184センチの大柄な男性です。
着ぐるみを着せかえるだけでも大変な作業でしょう。
ここでのムジュンは、上記に書いたように衣袋の血液ですね。
遺体が発見された第1スタジオの現場を見た成歩堂くんは、
「ヤリで刺されたのに血のあとが見られないのも、着ぐるみの中で殺害されたためだろう」
と言っていて、まさにその通りなんですが、着ぐるみを違うものに着替えさせたのならばその痕跡が残っているはずです。
鉄柵から一度抜いて遺体を運んだ
という事実がある以上、衣袋がかなり出血したのは確実であり、一度出血した胸に後からヤリを突き刺しても、血液の凝固具合や凶器の型で、少なくとも二度刺されたことは明確にわかります。
逆裁世界は犯罪が多発しているので、もしかしたら解剖も結構簡略化されている…?のかもしれませんね。
事故か、故意か?
「逆転のトノサマン」では、起こった事件がそもそも事故なのか故意なのか、ゲーム中でははっきり明示されませんでした。
そこで、物語中で起きた事件を考察していきます。
衣袋が被害者になった事件は?
衣袋が姫神のサツ害計画を立て、しかし逆に姫神に階段の上から突き落とされて自分が命を落とすことになってしまった、本編の事件。
姫神サクラが真犯人でしたが、
彼女は故意に衣袋を突き落としたのか、それとも不幸な事故だったのか?
結論から言うと、
どちらも可能性はあります。
裁判の時に過失致死や正当防衛の旨を一切訴えなかった姫神なので、事故は有り得ないと考えてしまいがちですが、事故の可能性も否定しきれません。
なぜかって、
衣袋の計画が全ての始まり
だからです。
この事件は、衣袋自らが荷星氏になりかわった偽装工作をして、姫神がいると知っていた第2スタジオまで自分の足で歩いて来ています。
つまり姫神にとって、トノサマンの着ぐるみを着た人物に襲われたのは、
完全に予想外の出来事
だったわけです。
姫神はかなり肝が据わっている女性ではありますが、成歩堂くん曰く「スラリとした美人」であり、突然にスピアーを持った着ぐるみ人間に襲われれば、驚いて抵抗するのは当然の行動です。
アクション俳優である衣袋の体力や体格と比べれば姫神の方が圧倒的に不利なわけで、普通なら着ぐるみ人間がヤリを持ってこちらに向かってくるだけでも、驚いて混乱してしまってもおかしくない事態なのです。
頭の良い姫神は、自分にサツ意を向けるトノサマンの中身にすぐに見当がついたかもしれませんが、だからといってスピアーを持って自分に向かってくるトノサマンに対し、冷静に、計算して、鉄柵の上に突き落とせただろう、とはちょっと明言できません。
抵抗しているうちに突き落としてしまった、と言われれば、
事故を否定する根拠がどこにもないのが実情
です。
もしも、仮に、姫神が故意に突き落としたとするなら…。
そうなると、
姫神の執念
を強く感じますね。
5年前から格安のギャラでいいように衣袋をコキ使っていた姫神は、衣袋を手にかける動機がないと裁判中にも証言しています。
衣袋が自分をころしに来ると事前に知っていたなら話は別ですが、単独犯の衣袋の計画を事前に知り得ることは不可能です。
つまり、事件が姫神の故意だったとすると、本当に突然前触れもなく自分を襲ってきた着ぐるみに対し、
すかさず鉄柵の上に突き落とせる判断力と冷静さを持ち合わせていた
ということになります。
5年前に衣袋によって命を落としたタクミという青年は、姫神の恋人だったのか、単なる想い人だったのかは不明ですが、少なくとも姫神の大切な人だったことは容易に想像ができます。
トノサマンの中身が衣袋だとすぐに見抜き、その瞬間に5年前の事故を思い出して同じやり方で返り討ちにしてやろう、と考えて衣袋を鉄柵の上に突き落としたなら、姫神のタクミに対する気持ちがあまりに強く、大事な人を奪った衣袋を5年前からずっと憎んでいたのだろう…、とつい考えてしまいます。
姫神の犯行が事故にせよ故意にせよ、憎い男のことは安いギャラでいいように使い、子ども番組の悪役にまで抜擢にして、大スターだった俳優のプライドをズタズタに傷つけ続けたのだから、冷静ながらも、しかし確実に衣袋に対し復讐していたことがわかります。
5年前の事件は?
では、物語の5年前に起きた、
当時大スターだった衣袋の起こした事件は、事故か、故意だったのか。
この事件はおそらく、
事故
です。
姫神は成歩堂くんたちに「故意」を示唆していましたが、それはないでしょう。
その根拠は、
衣袋武志が当時大スターだったから
です。
仮に衣袋が個人的にタクミに恨みがあったとしても。
タクミという青年が若手俳優で自分の地位を脅かすほどの素質を持っていたとしても。
スタッフがいる中でアクションの最中に故意に鉄柵の上に突き落としてしまったら、たとえ衣袋本人が事故だと主張しても、人一人の命が奪われているのだから、そのまま彼が大スターであり続けることは不可能です。
公衆の面前で事故を装って突き落とすという行為は、大スターの立場を確実に危うくすることだと、当時の衣袋だからこそ、いやでも理解できていたはずです。
こんな言い方はちょっとアレですが、子ども向け番組の悪役をしていた俳優になった今ですら、他人に罪をなすりつけようとしてまで、こっそり恨みの相手を襲おうとしたのです。
映画の主演俳優になれるほどの芸能人が、大スターという立場と引き換えに人一人の命を奪わなければならないのだとしたら、それこそ姫神サツ害計画のように、公衆の面前で事故を装うのではなく、もっと違う形でタクミをころしたに違いありません。
つまり、タクミが亡くなった事件は、
本当に事故だった
ということです。
事故だったけども、大スターという立場もあって、姫神の力を借りてその事実をモミ消してしまったのです。
オバチャンの言うように、正直に世間に公表していれば、いずれまた花形に復帰できたかもしれませんが…。
結果的に、事故の事実をモミ消したことで、姫神によって大スターの地位を引きずり落とされることになってしまったのです。
まとめ
逆転裁判・蘇る逆転から、第3話「逆転のトノサマン」をガチ目に考察してみました。
真犯人である姫神サクラは自分の罪が暴かれた後でも非常に冷静な女性で、突然自分を襲ってきた衣袋を絶命させた後も、冷静かつ迅速に現場の隠滅を成功させました。
犯行が事故か故意かは断定できませんが、冷静沈着さが終始一貫していた真犯人でしたね。
(個人的には、アニメ版で5年前の取り乱した姫神サクラを見たかったです)
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