【金田一少年の事件簿】「タロット山荘殺人事件」人気アイドル速水玲香の父、速水雄一郎の謎の過去を追ってみた

 

金田一少年の事件簿の「タロット山荘殺人事件」で、登場人物の一人である速水雄一郎について考察します。

 

*以下、最初から最後まで「タロット山荘殺人事件」のネタバレ(事件の核心等)が全開なので、未読の方は要注意*

 

速水雄一郎とは

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻60ページ)

青森県にある高巻スキー場タロット山荘のオーナーで、人気アイドル速水玲香の父……ではなく、養父

穏やかそうな外見と口調とは裏腹に、実は15年前、神奈川で身代金目的で幼い兄妹を誘拐、その際に兄妹の父の首を絞めてなんとサツ害しています。

誘拐した2歳の妹はそのまま拉致しましたが、情が移ったのか男手ひとつで養育、その2歳だった幼女が、今や人気アイドルで金田一少年とも仲良くなっている速水玲香です。

そして、15年前の誘拐事件の真相を知られた芸能レポーターの伊丹吾郎に脅迫されたことで、またも犯罪者になってしまいました。

逆上の末の犯行

スキー場で山荘を経営するオーナー、速水雄一郎。

彼が「自分の意志」でやってしまった二件の殺人は、

どちらも逆上の末の犯行

です。

今回の事件では、15年前の誘拐事件の真相を知っていた伊丹に脅迫されたことで、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻94ページ)

後先考えずにやってしまった、まさに衝動的な犯行でした。

金銭を要求されただけでは動揺していただけだったのに、一人娘を差し出せと言われた瞬間に頭に血が上ってしまったようです。

玲香の父親になるまでの経緯はまさに犯罪行為ですが、速水が玲香を想うその気持ちは、まさに「父親」そのものでした。

 

そして15年前の誘拐事件でも、逆上の末にやってしまったように感じます。

警察のミスをきっかけに速水の計画には色々と想定外な事態が発生、しまいには玲香の実父と揉み合いになり、誤って自身の左足を負傷してしまい、更に人質の一人だった玲香の兄、小城拓也にも逃げられます。

そこで、速水はとうとう逆上するのです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻151ページ)

決定的な言葉を吐き、速水は玲香たちの実父に手をかけます。

車内という密室とはいえ、そこにはもう一人、2歳の幼女がいて、すぐ外では8歳の少年が父親を心配してドアをガンガン叩いているのに、速水は首を絞めるのを止められません

速水自身、相当なパニックに陥っていたと考えられますが、成人男性の首を絞めて息絶えさせるまでは数分かかるでしょうし、速水にも相当なサツ意があったと捉えられても仕方ありません。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻152ページ)

しかも原作では、意識を失った玲香の実父を足で車から蹴落とすという暴挙にも出ています。

玲香にとって速水はあくまで「優しい父」でしたが、速水雄一郎が関わったこれら二件の事件をおさらいすると、

 

逆上すると恐ろしい男

 

と言えるのではないでしょうか。

速水雄一郎の謎の過去

今や人気アイドル速水玲香の父におさまっていますが、そうなるまでの速水雄一郎の人生が謎に包まれているので、彼の過去を追ってみることにします。

なぜ誘拐事件を実行したのか

「タロット山荘殺人事件」の発端である、15年前の兄妹誘拐事件

この事件を企てたのが、速水雄一郎です。

おそらく速水単独で行ったであろうこの事件、単純に考えて、

 

その動機は身代金目的

 

以外にありません。

覆面をして顔を見られないようにしていたことを考えると、身代金を受け取ったらおそらく幼い兄妹は、無傷で帰そうとしていた可能性が高いです。

当時、玲香と共に誘拐された8歳の小城拓也が、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻152ページ)

速水が実父の首を絞めているこの瞬間に、初めて、自分を誘拐した男の顔を目撃しているので、拉致誘拐したその瞬間も、速水は覆面か何かで素顔を兄妹に晒していなかったのだろうと推測できます。

8歳までの記憶が曖昧だった小城の回想以外にも、身代金取引現場にわざわざ幼い兄妹を連れて来ていた速水の行動を見れば、無事に身代金を受け取った後は兄妹を父親の元に返そうとしていたのだとわかります。
(人質を返す気がなければいちいち身代金取引現場に連れて来ないし、さっさと口封じしていてもおかしくない)

つまりこれは組織めいた犯罪ではなく、あくまで単純な誘拐事件であり、

 

お金だけが目的だった

 

のです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻149ページ)

玲香の実父がどれだけの身代金を用意したかは不明ですが、鞄の中の札束を見ると少なくとも一千万はありそうです。

後に発覚するのが、実は速水玲香は女優・三田村圭子の娘でした。

15年前の誘拐事件時、玲香の父と三田村圭子が婚姻関係にあったのか、玲香の実兄である小城拓也と三田村が親子関係にあるのかは不明ではありますが、世間には公表していなくても玲香が有名女優の娘で裕福な生活をしていたからこそ、身代金目的で誘拐されてしまったのでしょう。

また、15年前と言えば、速水は35歳

働き盛りの年齢と言えますが、単独で幼い兄妹の誘拐事件を実行したほどに、当時の速水は生活が切羽詰まっていたと思われます。

誰も頼れない中、失業でもしたのか、もしかしたら自分で会社でも経営していて失敗したのか…?

しかし、誘拐事件は一人の犠牲者を出してしまいながらも、

 

結果的に速水は身代金を手に入れることができました。

 

この資金を元手に、情が移った玲香を養育したのでしょう。

どうやって玲香を育てたのか

誘拐した幼女を速水が育てたとなると、ひとつ疑問が生まれます。

 

玲香の戸籍を、どうやって入手したのでしょうか?

 

玲香の本当の名前である「梓」の戸籍は当然使えないので、考えられる仮説を挙げていきます。

仮説① 速水には実子がいた

まずは、実は速水は当時結婚もして子どももいて、しかし妻も2歳前後の娘を亡くしていながらどういうわけか死亡届を出しておらず、実娘の戸籍を玲香に利用した?

…なんてご都合的な展開も想像してしまいましたが、否定できる絶対的根拠もないので、これを仮説①とします。

速水が玲香と変わらない年齢の自分の子を亡くし、仕事も失敗したことも重なって自暴自棄になったことで誘拐事件を企てた結果、誘拐した幼女を育てることにしたので自分の子の戸籍をそのまま利用した、という説です。

この方法だと、公的にも問題ない完全な親子関係でいられたので、速水も安心して玲香を養育できたでしょう。

ただ、個人的には推せない説でもあります。

 

極限状態になった速水が、実子のことを少しも考えないから

 

です。

誘拐事件から15年後、逆上の末にまた罪を重ねた速水は、再び過去の自分の罪を知る正体不明の人物=真犯人から脅迫されますが、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻179ページ)

そんな時でも、考えるのは今の生活を守ることと、玲香のことだけです。

もしも15年前に実子を亡くしているなら、「玲香の父親でいるため」だけではなく、「実は存在した実子」のことも脳裏をよぎるものでは…?

速水は最期まで、15年前の誘拐事件を誰かに知られている恐怖に囚われており、自分の子と玲香が入れ替わったことには言及していないので、状況判断ですが、仮説①は根拠としては薄いように感じます。

仮説② 戸籍を買った

そこで私個人が推す仮説②は、

 

戸籍を買った

 

という説です。

単純だけれど、この説が一番有り得るかな、と…。

戸籍購入の資金は、もちろん身代金です。

誘拐事件まで起こし、人一人を手にかけた速水は、どこからか戸籍を購入する裏ルートを見つけたのではないでしょうか。

貧困層の子どもの戸籍を買い取ったり、それこそ裏社会ルートを使わないといけなかったために難儀はしたでしょうが、速水もそれだけのことをしないといけなかったのです。

ただ養育するだけで無戸籍のまま生活させるにはデメリットの方が大きく、更に無戸籍の少女を芸能界に送り出すには、速水の過去の罪を考えればかなり危険過ぎます

無戸籍では小学校すらも行けないですから、幼い頃から芸能界にいて忙しかったであろう玲香も、最低限の義務教育すらも受けていなければ確実に周囲から不審がられます。

保険証が作れないから病院にもかかりにくく、身分を証明できるものが何ひとつとしてありません。

だからこそ、

 

速水は玲香の戸籍を買うことで、堂々と自分の娘として養育した

 

のです。

★無戸籍だと思われる人物は「異人館村殺人事件」にも登場しています。

【金田一少年の事件簿】「異人館村殺人事件」犯人と異人館当主たちの知られざる秘密!?

 

誘拐当時の玲香は2歳ですから、突然環境が変われば夜泣きもするだろうし、トイレだってまだ完璧ではない年齢です。

そんな幼女を、(子育てをしたことがないであろう)速水が、男手ひとつで育てたのです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻175ページ)

娘の玲香が「お父さんはいつも優しい顔で笑いかけてくれた」と言うのですから、速水の玲香に対する愛情は本物だったはず

要は、親として子どもにできることはなんでもしてあげたい、と思うのは当然の感情ですし、周囲からの目を考えれば、

 

玲香を無戸籍のままでいさせる方が考えにくい

 

のです。

伊丹の脅迫に逆上したのも玲香の話題がキッカケで、速水が「父親」として玲香を愛していたことがわかります。

★「飛騨からくり屋敷殺人事件」犯人の 首狩り武者 も、血縁関係のない子どもを育てていたのに…。

【金田一少年の事件簿】「飛騨からくり屋敷殺人事件」問題は〇〇だけではなかった! 犯人、首狩り武者の最大の誤算とは?

なぜ玲香は芸能界に入ったのか

速水にしてみれば、玲香は愛する娘同然ではあっても、その存在自体は自分の罪の象徴でもありました。

世間的には、15年前に誘拐されたままの2歳の幼女は行方不明のままで、まさか誘拐犯が育てているとは誰も考えておらず、この点も速水にとっては絶対に隠しておきたい秘密だったはずです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻93ページ)

偶然15年前の事件の真相を知った伊丹も、まさか玲香があの時に誘拐された幼女だったとは思っていません。

実の親子だと思っているから「あんたの頼みなら…」なんてゲスいことが言えるのであって、誘拐した幼女が玲香であることを知っていれば、

「(速水を実の父だと信じている)玲香に真実を言う」

と、誘拐事件当事者の小城拓也しか知らないダメ押しの脅迫も可能だったわけです。

ゲスい要求をしてくる伊丹ならば、「実の娘でないならいいじゃん」くらいのことも言いそうですしね。

その娘が、

 

よりにもよって人の目を集める人気アイドル

 

になっている事実が、なんかもう理解し難い…

 

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版3巻193ページ)

玲香初登場の金田一少年シリーズ第3話「雪夜叉伝説殺人事件」で玲香はこう言っており、彼女が幼い頃から芸能活動していたことがわかります。

玲香のことを「根っからの芸能界育ち」だと言っていた小城の言葉は、本当だったのです。

速水親子の関係を鑑みれば、父親の意思で玲香を芸能界入りさせたとは考えにくいのですが…。

★玲香初登場の「雪夜叉伝説殺人事件」考察記事は、こちらから。

【金田一少年の事件簿】「雪夜叉伝説殺人事件」犯人の雪夜叉はメインのトリックをいつ、どのように作ったのか?

 

では、玲香が芸能界入りした理由は何なのか?

 

ここは、解釈が完全に二つに分かれる所ですね。

更に、人によってその解釈が違ってくることも有り得るでしょう。

解釈① 速水の意思で玲香を劇団に入れた

まずは、

 

父親である速水の意思が先行した

 

という解釈です。

2歳から自分の手で育てた玲香に何らかの素質を見出し、玲香が5歳になった時に速水の勧めで劇団に入れたのです。

玲香が劇団に入ったのが5歳なのだから、子ども本人よりも大人の意思が前面に出ていると考えるのは、ごく普通の発想です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻157ページ)

玲香の実兄、小城拓也はこちらの解釈ですね。

目の前で父をコロされ、妹を誘拐されたのだから、速水に対して負の感情を抱くのは当然です。

しかし本来であれば、

 

元は誘拐した幼女であり彼女の実父をも手にかけている秘密の過去を持つ速水が、わざわざ人の目を引く芸能界に入るきっかけを作る…?

 

という疑問が、真っ先に浮かびます。

芸能人にはマスコミがついて回るものですし、自分の経歴を顧みれば、むしろひっそりと地味に生活していた方がよっぽど安全ですよね。(現に、一般人だったら絶対に接触しない芸能レポーターの伊丹に、誘拐事件を知られて脅迫されている)

当時の速水にしてみれば、可愛い娘がちょっとした端役でも地元テレビに出られるだけでいいと思った、くらいの感覚でいたのかもしれないし、芸能界で活躍してくれれば金銭面で苦労しなくて済む、という打算があったのかもしれないし、ここは原作の表現だけでは想像しかできません。

 

そして話は少しずれますが、どうやら速水親子はスキーに深い関連がありました。

玲香が持っていたアルバムには、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻56、57ページ)

アイドルになってからのものでしょう、スキーイベントの写真がちょいちょい見られます。

金田一少年が「首に巻くもの」に注目していたために真冬の写真ばかりに注目していたとはいえ、玲香自身がそこそこスキーに堪能だから、スキーイベントにも出演していたのでしょう。

つまり、

 

育ての親である速水が玲香にスキーを教えていたとか、幼い頃から頻繁にスキー場に何度も連れて来ていた

 

と推測できます。

速水自身は足の怪我をきっかけにスキーは滑れなくとも、誘拐事件前はスキーなどのウィンタースポーツを趣味にしていた可能性が高いです。

だからこそ、

 

スキー場のペンションオーナーにおさまっている

 

のではないでしょうか。

雪国生まれでも雪国暮らしでもない、ウィンタースポーツにも全く縁のない人間が、いきなり雪深いスキー場のペンションオーナーになろうと考えるかどうか、と問われると微妙なんですよね。

更に、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻175ページ)

速水が経営しているタロット山荘と呼ばれるスキー場のペンションは、玲香が赤間社長から借金をして購入しています。

 

タロット山荘の購入が、玲香の意向か、速水の意向か、どちらで決まったのか。

 

玲香の意向だとすれば、男手ひとつで自分を育ててくれた速水に対し親孝行で購入したのだろうと容易に想像がつきますし、スキー場でのペンション経営とか最初から全く興味のない人間に押し付けで購入するわけもなく、速水の夢や趣味嗜好を反映して購入したのだと思われます。

速水の意向だとすると、50歳の成人男性が、自分の夢か趣味嗜好のために17歳の娘に雪山の山頂にペンションを買って貰ったことで、ペンションオーナーになれているのです。

どちらにせよ、速水がタロット山荘のオーナーにすんなりおさまっている以上、速水自身も娘が購入したペンションのオーナーになることは不服ではなかったことになりますから、うがった見方をすると、

 

まさか、速水はこれを狙っていたのか…?

 

という解釈も、可能になるわけです。

玲香が5000万円に膨れ上がった借金のことを速水に打ち明けていなくても、父親として、芸能人とはいえ一応は未成年である娘の懐事情を全く把握していないため、このような解釈も否定しきれません。

人気絶頂のアイドルである玲香が一般人とはかけ離れた給料だったとしても(赤間曰く「安月給」らしいですが)、速水が赤間社長に掛け合ったとして玲香の体を狙う赤間が父親の速水にはイイ顔をして適当にあしらっていたとしても。

少なくとも、ペンション購入から借り入れ返済までのお金の流れを父親が把握していなかった、もしくは適当に誤魔化されていたのですから、借金が膨らんだことで玲香が芸能活動を止めようと思うほどに悩んでいたのを見抜けなかったことも含め、娘に対して少々考えが足らなかったと言われても仕方ないのかな、と思います。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻178ページ)

絶賛脅迫され中だった速水はそれどころではなかったせいか、むしろ、同じ年頃の娘がいるらしい諏訪さんの方が玲香に寄り添えているほどでした。

速水は玲香を本当に大事に思っていたけれど、過去の自分の大罪を顧みずに娘を芸能界に入るきっかけを自ら作ったのだとすれば、誘拐事件も含め、

 

後先のことをあまり考えられない人物

 

という印象が余計に強くなります。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻160ページ)

誰も見ていないからと言って、密室に近い雪山で、事件の真相を知っているだろう金田一少年も手にかけようとする辺り、その印象はあながち間違っていないのかも…?

解釈② 玲香の意思で劇団に入った

次に、

 

玲香自身の意思で劇団に入った

 

という解釈です。

5歳ながら芸能界に強い興味を持った玲香が速水におねだりをして、止む無く劇団に入ることを速水が許したのです。

上記で述べたように、玲香は速水の罪の象徴です。

もっと言ってしまえば、玲香の実兄で同じ人質だった当時8歳の小城拓也には逃げられているので、まさか自分の顔が見られていたとは気付かなくても、玲香の顔が世間で大きく知られることには速水の方が強い抵抗があったはずです。

誘拐当時2歳だった玲香は成長すればもちろん多少顔も変わりますが、小城ら親族が成長した玲香の顔を見て勘付かない、という保証はどこにもありません。

しかし、愛情持って育てていた娘が5歳でやりたいことを見つけていれば、速水も無下に反対しにくく、結局は芸能界入りのきっかけを許してしまったのです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻175ページ)

速水のすさんだ心を溶かした玲香の頼みは、速水も断固として拒否できなかったのかもしれません。

そんなこんなで、社長に気に入られた玲香があれよあれよと人気歌手に成長していったのは、速水の完全な誤算だったのか、それとも嬉しい誤算だったのか…。

 

上記で述べたように、速水親子はスキーに深い関連があったと思われます。

そんな中、速水は玲香の活躍を嬉しく思いながらも、内心では娘がテレビに連日出演していることに怯えていたのだとしたら…

例のタロット山荘の購入も、玲香の意向であれば単純に親孝行、速水の意向であれば、「山奥に移住することでひっそり生活したい」という本音があったのでは…?という想像が広がります。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻57ページ)

2ヶ月前にオープンしたばかりのタロット山荘前での記念写真、速水は満面の笑顔です。

娘が超有名人になった今、自分は青森県のスキー場でペンションを経営しながら、ひっそりと田舎で暮らせるであろう安堵からきた笑顔なのか…

それなのに、愛する娘が父親の経営するペンションに逃げ込んで来たことで、娘を追う芸能レポーターの伊丹までもやって来てしまい、15年前の事件で脅されるわけで。

こちらの方が、娘の夢を応援した結果、自分の破滅に繋がったという、

 

なんとも皮肉な結末

 

になります。

まとめ

「タロット山荘殺人事件」において、人気アイドル速水玲香の(養)父、速水雄一郎の過去について、考察してみました。

既に「雪夜叉伝説殺人事件」で登場していた速水玲香の父ということでしたが、物語の前半では堂々(?)と犯行を行う狂気を放ち、しかも過去に重罪を犯していた仮の犯人でもありました。

こう言ってはアレですが、玲香が芸能界に入らなければ、伊丹にも小城にも出会う確率は格段に低くなり、罪から逃れて平穏な生活を続けられた可能性が高いですね。

誘拐事件をキッカケに玲香を育ててきた速水は、5歳の玲香を劇団に入れる=芸能界への礎を築くべきではなかったはずで、しかし玲香は現在トップアイドル……。

父子どちらの意向でこうなったかは、解釈が分かれる所です。

どちらにせよ、過去に自分がコロした男の息子に脅迫され続けた速水の最期は、なんとも皮肉でした。

★自分がコロした女性の親に復讐された「学園七不思議殺人事件」犯人は、引くほどに思い切りが良いです。

【金田一少年の事件簿】「学園七不思議殺人事件」タガが外れた後の犯人の思い切りの良さがヤバ過ぎる

 

「タロット山荘殺人事件」は、金田一少年シリーズ第11話です。

スピンオフの犯人視点ギャグマンガは、ある意味傑作。

 

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