【映画ドラえもん感想】「のび太の新・宇宙開拓史」の感想! 原作・旧作映画とも比較してみた

 

ドラえもん映画旧作では第2作目だった「のび太の宇宙開拓史」ですが、2009年に声優陣全てを一新させてからのリメイク版が発表されているので、原作や旧作映画と比較しながら、「新・のび太の宇宙開拓史」の感想をつらつらと述べていきます。

 

*以下、映画のネタバレがあるのでご注意ください*

 

映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史

1981年に公開された「のび太の宇宙開拓史」のリメイク映画です。

新スタッフ陣では、映画シリーズ第4作目に当たります。

大まかに旧作と比較してみながら感想を述べていきますが、私自身がどうしても旧作に思い入れがあるため、辛口評価になっています。

声優さんの演技が…

最近のアニメ映画はタレントさんをゲスト声優として迎え入れるのが習慣となり、個人的にこの習慣は止めて貰いたいなぁと昔から思っていますが(演技がお上手な方なら大歓迎)、今作のゲスト声優さんたちの演技がまた……ちょっと違う意味で凄かったなぁ、と。

最初は何も情報を入れずに映画を観ていたけど、モリーナと、特にクレムが、すぐに「!?」となりました。

モリーナは原作にいなかったオリジナルキャラで、不機嫌な声はキャラに合っていたのですが、やはり棒演技に聞こえてしまい…。

また、旧作のクレムちゃんが安定の小山茉美さんだっただけに、比較してしまうとその落差が激しく、リメイク他キャラたちもベテラン声優さんで固めていたため、逆にその演技が目立ってしまう結果になったように感じました。

クレムちゃんもですが、特にモリーナは新作オリジナルキャラでロップル君とも関わりがあり、後半には緊迫する場面や感動的な演出もあったせいか、否応にも演技が耳についてしまい残念でした。

しかし意外にも、旧作のゴスとメスに当たる二人の敵役をしていた芸人のチュートリアルさんの方が、演技に全く違和感がなく、驚きましたね。

「のび太の恐竜2006」に出演されていた船越さんや、旧作ギラーミン役だった柴田さんのような悪役らしい渋味のある演技は無いものの、ギャグ漫画のコミカル悪役としては面白味があって良かったです。

映画後半が超改悪ばかり

初見の感想としては、

 

前半は原作に忠実、後半は改悪ばかり

 

という印象でした。

オープニングだけは原作には無いモリーナ親子の演出が来て、あとは原作通りの展開で安心して観ていたのですが、後半になるにつれてオリジナル要素が強く出てきて、色々と改悪されているように感じました。

特に悪役のギラーミンは、自分の仕事に誇りを持ち弱者にも手加減をしなかった職人気質の原作・旧作設定と違って、器の小さい小悪党に成り下がってしまい、原作ギラーミンファンの私としてはこれが一番許せない改悪ポイントでした。

*旧作「宇宙開拓史」はギラーミン無しでは語れない!

【大長編・映画ドラえもん感想】ドラファンが「のび太の宇宙開拓史」を語り尽くす!

原作ではのび太との一騎打ちが最大の見所でもあり、射撃の腕前が神レベルののび太に撃たれたら潔く負けを認めていたギラーミンなのに、新作では撃たれた後に卑怯にも一発後ろから発砲して、更に捨て台詞を吐きながら逃亡…。

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.2 のび太の宇宙開拓史」184ページより引用

原作では、顔面から倒れながら意識をなくす寸前に言葉に出して自分の負けを認めるギラーミン。

 

こんなにも潔い原作ギラーミン様はどこに行ったんだ!!

 

しかも、この一騎打ちシーンが物凄く短く、サラ~と流れてしまったのも非常に残念極まりない。

このシーンは、原作では5ページも使った終盤一番の見所でもあったはずなのに…。

「宇宙開拓史」は、のび太がひみつ道具を使わずに、自分の特技(射撃)やその場で利かせた機転で敵キャラを倒す、数少ない映画のひとつでもあるんです。

その名シーンは確実に再現して欲しかったなぁと、残念に思います。

旧作映画ではのび太がガチでギラーミンを倒してしまったらイカン!との配慮からなのか、一騎打ちにドラえもんが介入し、のび太の代わりにロップル君が引き金を引きながらも、その後は息つく暇もなくハラハラシーンが続き、ピンチにはジャイアンたちが駆けつけ、その流れでコア破壊装置をロップル君が機転を利かして見事に星を救う展開になっており、原作見所の一騎打ちを流した分、続く緊迫場面とロップル君の活躍でしっかりと相殺できていました。

しかし、新作では見所を取り入れながらも尺が短すぎたために盛り上がりに欠け、コア破壊装置を違う形で止める新展開もやはり尺が短いために特にハラハラ感がなく、そこにこれまで感情移入できなかったモリーナ親子の要素を詰め込んでしまい、肩透かしを食らった気分に…。

「もうひとつの宇宙開拓史があったんだね」

というのび太の台詞も、絶対にいらなかったでしょう。

こんなことを当事者ののび太に言わせてしまっては、畳一枚で奇跡的に繋がることができたロップル君との友情物語が一気に薄まってしまいます。

原作から脚本が変わるのは結構なのですが、こうも首を傾げる内容ばかりだと、逆にガッカリさせられてしまいました。

モリーナは必要だった?

さて、新作ではオリジナルキャラとなったモリーナ姉さん。

最初はロップル君を見守る良き理解者ポジションなのかと思いきや、物語を見ていると全くそうでないし、ギラーミンに簡単に騙されてのび太たちがコーヤコーヤ星に来る方法をバラしているし、最後はロップル君と共に捕まっているし、ただ物語をかき回しただけで終わってしまった感が否めないキャラでした。

彼女に感情移入できる演出だったら、まだ後半のオリジナル要素も受け入れられたのでしょうが…。

あまり魅力を感じることができないキャラで終わってしまったために、新作ではお涙シーンでもあったであろうエンディングの父と子の再会シーンも、さほど感動できなかったです。

子ども時代のモリーナは、堀江由衣さんの声で可愛かったんだけどなぁ…。

藤子・F・不二雄、小学館「大長編ドラえもんVOL.2 のび太の宇宙開拓史」128ページより引用

また、本来のび太たちの秘密をバラしてしまうのはクレムに想いを寄せているように見えたブブでした。(新作ではそのような描写は無し)

彼は原作ではギラーミンから、旧作映画ではボーガント主任(新作ではバカラ)から脅迫され、止む無く口を割っています。

ブブはまだ子どもですし、大人数人に囲まれて銃まで突きつけられたら恐怖で秘密を言ってしまうのは仕方のないことで、しかし彼はバラしてしまった罪悪感から後から駆け付けたジャイアンたちに協力を申し出ているので、ブブの行動は納得できてしまうものです。

が、モリーナは父のことで移民たちに不満を持っていたとはいえ、簡単にギラーミンに騙されてしまって、終盤はロップル君と共に捕まるし、なんだかなぁ…と。(ギラーミンの発砲は庇ってくれましたけどね)

正直、オリジナルキャラのモリーナは必要無かったように感じました。

モリーナ父の伏線やガルタイト鉱業とのやり取りも、小学生以上ならいざ知らず、未就学児にはまだ難しいなという印象でしたね。

新・宇宙開拓史の良かった点

ここまで不満ばかり申し上げてしまったので、最後に新作の宇宙開拓史の良かった点を挙げておきます。

  • 最初の中学生とのくだり
    (「邪魔だタヌキ!」は笑いました)
  • 空き地を探してくれと頼まれた時の、やる気のないドラえもんの「はいこれ」
    (スモールライトは確かに合理的!と大人になるとわかるけど。笑)
  • ロップル君&チャミーと初対面を果たした時の、彼らの食事シーン
    (お腹が空いて倒れてたんだから当たり前のシーンなんだけど、原作旧作でも無かったため新鮮だった)
    (チャミーの側で人参が一口だけ齧ってあったので、人参はお気に召さなかったんだなとわかって面白い)
  • のび太たちに頼りきりなコーヤコーヤ星の大人たちに、モリーナが喝を入れた所
    (原作ではロップル君が諫めていたけど、大人のモリーナが言うと説得力がある)

…と、こんな感じで、ほとんどが映画冒頭30分くらいに良シーンが集まっていました。

もちろん随所にはキャラたちの細かいコミカルな動きや表情があり、その辺りも可愛くて面白かったです。

まとめ

原作・旧作に思い入れのある層には、かなり不満点が多く感じたリメイク版「新・宇宙開拓史」。

ドラえもん映画史上BEST3に食い込むであろう魅力的な敵役ギラーミンをただの小悪党にして、原作一番の見所一騎打ちシーンをサラッと流し、オリジナル要素も生かされることもなく、エンディングはのび太によって意味不明な台詞を入れてしまい、原作ファンだとどうしても感想が辛口になってしまいました。

時代に合わせたコミカルシーンは可愛いし面白かったですが、完成された原作作品がいかに素晴らしいかを、改めて思い出させてくれた作品でした。

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「新・のび太の宇宙開拓史」は、新ドラえもん映画シリーズ第4作目です。

ブルーレイ版もあります。

旧作映画は1981年公開、見比べてみると面白いかもです。

原作の大長編は名作です。

 

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