【金田一少年の事件簿】「タロット山荘殺人事件」犯人、陰の脅迫者に秘められた最強ポテンシャル!

 

金田一少年の事件簿の「タロット山荘殺人事件」で、犯人「陰の脅迫者」の秘められたポテンシャルについて考察します。

 

*以下、最初から最後まで「タロット山荘殺人事件」のネタバレ(犯人等)が全開なので、未読の方は要注意*

 

犯人「陰の脅迫者」とは

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻40ページ)

正体は、小城拓也。

一人目と二人目の被害者は小城本人が直接手を下した犯行ではないですが、二人目の被害者である赤間光彦に関しては、裏で速水雄一郎を脅迫して操っていたことから、間接的に赤間をころしたと言っても差し支えないでしょう。

三人目の被害者であり、アイドル速水玲香の父でもある速水雄一郎は、当然ながら小城本人が手を下しています。

動機は、15年前に誘拐された妹と、父親をころされた復讐です。(赤間に対しての動機は、実の妹を守るため

実は速水雄一郎は、15年前に小城兄妹を誘拐し、彼らの父を絞殺した犯罪者だったのです。

小城本人も妹と共に誘拐された被害者でしたが、目の前で父親が首を絞められた姿を目撃したことがショックで事件以前の記憶が曖昧になり、23歳になるまで実父や妹のことをはじめ、事件のことも全て忘れていました。

しかし、記憶はなくても無意識に「首に何かを巻く」行為がトラウマとなっており、ネクタイが巻けないことで希望の就職活動もままならず、仕方なく芸能事務所に就職したところ、偶然にも自身がマネージャーをしているアイドル速水玲香の父親を名乗る男の顔を見た時に、15年前の事件を全て思い出します。

あろうことか実父を手にかけた男が、誘拐された実の妹=アイドルの速水玲香の父親としてのうのうと生きていることに激しい怒りを覚えた小城は、その場で復讐を誓うのです。

★「タロット山荘殺人事件」重要人物、速水雄一郎については、こちらで考察しています。

【金田一少年の事件簿】「タロット山荘殺人事件」人気アイドル速水玲香の父、速水雄一郎の謎の過去を追ってみた

見かけによらずフィジカルが強い犯人

明智警視と同じく東大出身の小城は、その外見に似合わずかなり、フィジカルが超、強めです。

それは実際に行った彼のアリバイ工作を見れば明らかで、

 

中肉中背の男性の遺体を雪山の山頂にある巨大風車にくくりつける

 

という行動だけで、彼のフィジカルが最の強ということがわかります。

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」2巻66ページ)

スピンオフのギャグ漫画では、風車の高さにご本人が絶句しておりますが…(笑)

これまでの考察でも意外と体力勝負だったアリバイは多々ありますが、小城が行った風車くくりつけ工作は、金田一少年シリーズでは随一のフィジカル必須工作です。

★「オペラ座館殺人事件」犯人は、かなり慌ただしいアリバイ工作をしています。

【金田一少年の事件簿】「オペラ座館殺人事件」犯人 歌月の犯行までの下準備を暴いてみた

★個人的に壮絶だったと思うのは、「雪夜叉伝説殺人事件」の犯人。

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★「金田一少年の殺人」犯人は、地味なトリックながら、年齢を考えればかなりキツイ工作だったはず。

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終盤では、事件の真相にショックを受けて山荘を飛び出してしまった玲香の元に即座に駆け付け、更に雪崩に巻き込まれそうになった彼女を突き飛ばして、結果的に実の妹である玲香の命を己を犠牲にして守り抜きました。

玲香の回想だけの描写ですが、妹のために雪山を全力疾走して彼女を守ったその行為も、火事場の馬鹿力だった可能性もあるとはいえ、「やっぱりフィジカルが凄いなぁ」という感想を抱いてしまいます。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻170ページ)

肩で息しているほどだから玲香を探して雪山を走り回っていたはずで、他のメンバーは上着を着て捜索していた中、小城だけは玲香と同じく着の身着のままで山荘を飛び出したことが窺えます。

スキーにこなれた辻や電気の途絶えた雪山から一人脱出できた金田一少年ですらすぐに発見できなかったのに、いの一番に妹を発見できたその嗅覚は、到底理屈では説明できません。

なんにせよ、土壇場になると最強のフィジカルを発揮するのが、陰の脅迫者の正体である小城拓也なのです。

無謀!? 風車くくりつけ工作

「タロット山荘殺人事件」第一の被害者・伊丹吾郎は、速水雄一郎が衝動的にサツ害、その遺体を速水が埋めている所を、偶然にも小城が目撃します。

自身の復讐含め、玲香を狙う赤間光彦を消すために速水を利用しようと考えた小城は、逆にその時点で単独犯だった速水のアリバイを確保するために、伊丹の遺体を風車山の山頂にある風車にくくりつけることにしましたが…。

 

かなり無理めなアリバイ工作であることは否めません。

 

その無茶ぶりはスピンオフである犯人視点の漫画でも描かれていて、

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」2巻68ページ)

雪がちらつく中、そこそこの高さがある風車に何も道具を使わずたった一人で成人男性の遺体をくくりつけるという、SASUKEばりの大所業となっております。

スキーシーズンの雪山で何か有用な道具があるわけもなく(後に風車山に取り残された金田一少年も、自分の手持ちの道具と知恵だけで雪山を脱出している)、まさに身一つでフィジカル勝負の工作をするしかなかったのです。

元々は計画的ではない、因縁のある人物の凶行を偶然に目撃したことから始まった連続事件ですから、小城もトリックの準備なんてしておらず、逆にフィジカルに頼らざるを得ないトリックを遂行することで、疑われないようにしたのか…?

東大出身だけに、金田一少年には「勉強した方がいい」と嫌味に近いアドバイスをしていた小城も、なんだかんだ普段から鍛えていたんですかね?(できる推論がコレばっかり…)

至難!? 風車山へのルート

しかし、そもそもの疑問として、

 

小城は、どうやって風車山に行ったのか?

 

という点が、最大の謎でもあります。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻135ページ)

原作では偶然居合わせた結城医師のおかげで、伊丹の死亡推定時刻が夜の10時~11時だということが判明します。
(手術道具を持ち歩いている結城医師とはいえ、他に何の設備がない山荘で本当に遺体を解剖したなら、リアルブ〇ック〇ャックとしか言いようがない)

…が、その時間、既に風車山への連絡リフトは動かない時間でした。

タロット山荘付近のリフトは、朝の8時から夕方5時までしか動きません。

タロット山荘と風車山は徒歩圏内ではないらしく、遭難しかけたスキー客の辻は、リフトが動かなかったために風車山からスキーで4時間かけて山荘まで辿り着いているし、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻74ページ)

金田一少年も、軽装で放置されたという点があるにしても、徒歩で風車山から山荘へ戻るのを諦めざるを得なかったほどの距離だった、ということが推測できます。

小城本人が挙げたスノーモービルの可能性は金田一少年が否定しており、実際に性能が良いスノーモービルがタロット山荘にあったとしても、速水雄一郎と初対面だった小城がタロット山荘を訪れたのは今回が初めてだったはずで、そんな彼が土地勘のない雪山を真夜中に迷うことなく乗りこなせたとはやはり考えにくいです。

つまり、

 

小城が伊丹の遺体を風車山に運んだのは、翌朝8時以降

 

になります。

スピンオフ漫画では夜のうちに風車にくくりつけたと思われる描写でしたが、実際は翌朝に遺体を運んだのです。

では、翌朝8時にリフトを動かしたとして、小城は8時30分には山荘にいたという鉄壁のアリバイが残っています。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻137ページ)

普通に考えれば問題のないアリバイなのに、小城が風車くくりつけ工作をしたとなると、逆に30分の縛りが出てきました。

 

小城は8時にリフトを動かして伊丹の遺体を風車山まで運び、歩いた先の山頂で風車に遺体をくくりつけ、再びリフトに乗って8時30分には山荘に到着していないといけない

 

ということです。

伊丹の遺体を発見した日の風車山は霧が出ているだけだったので、リフトの時間関係なく、真夜中から小城が成人男性の遺体を担いで徒歩で風車山に向かった可能性は、まず有り得ません

風車山とタロット山荘間がスキーで4時間かかるなら徒歩ならそれ以上かかるということで、伊丹の遺体を掘り起こす作業も考えると、前日夜中の0時半までアリバイがある小城では、いくらフィジカルが強いと言っても、さすがに厳しいです。

仮にスノーモービルが山荘にあったとして、上記の理由に加え、夜中や早朝に走り出せばエンジン音で誰かしらに気付かれるでしょうし、となるとやはり、小城はリフトを使って風車山を往復したと考えるのが無難でしょう。

しかし、仮にリフトで運んだとしても、最大の疑問が残ります。

 

本当に30分でアリバイ工作を終え、山荘まで戻れたのでしょうか?

 

伊丹の遺体を発見した朝、山荘の大広間に金田一少年と伊丹以外の人間が集まったのは、9時頃でした。

それから金田一少年を起こし、伊丹の異変に気付き、リフトに乗り込むまで、少なく見積もっても10~15分くらいでしょうか?

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻117ページ)

風車山でリフトを降りても、山頂まで少し歩くようです。

更に金田一少年が作成したアリバイ表によると、伊丹の遺体を発見したのは朝の9時半頃

科学的根拠に基づく計算ではないですが、山荘からリフトに乗って山頂に着くまで、15分前後といったところでしょうか。

つまり、

 

山荘から風車まで、移動時間だけで往復30分以上はかかる

 

ということになります。

集団でゾロゾロ動いての30分ですから、先に遺体を掘り起こして8時きっかりにリフトに乗り込めば、単独では(行きは遺体を担いでるけど)もう少し短縮できる……かも?

なんにせよ、

 

たった30分で遺体を風車にくくりつけて山荘に戻るのは、かなりキツイ!!

 

ということです。

余裕!? 時間制限がなければお手の物

小城はその後、金田一少年を殴って気絶させてから、伊丹と同じように彼をリフトに乗せて風車山に置き去りにしています。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻67ページ)

雪山に放置するだけでその場で確実に息の根を止めなかったのは、金田一少年が主人公だから直接動機があるターゲットではないからでしょうかね。

気絶するほどに頭を強打されたにも関わらず、特に後遺症もない金田一少年の生命力には驚かされますが、何よりも、

 

意識のない男性を再びリフトで運んだ小城の体力

 

に驚かせられます。

伊丹の遺体の移送時、いくらフィジカル最強と仮定しても、制限時間30分という縛りの中では相当に体力と神経をすり減らした作業だったろうに、よくもまぁもう一度「金田一もリフト輸送したろ」という発想になったな、と…。

金田一少年の場合、制限時間一杯、しかも風車山に放置するだけ、と伊丹の時と違って難易度もかなり下がっていたので、一度地獄を見た小城ならば余裕だったのかもしれません。

結局、小城がフィジカル最強という事実は変わりませんでした。

フィジカルだけでなく頭も良い犯人

遺体&金田一少年輸送がフィジカル最強説を生んでいる小城ですが、実は小城、当然ながら頭も非常に良いです。

言葉巧みに速水を操り、自分の手を汚すことなくターゲットである赤間を彼にころさせたのはもちろん、速水サツ害のトリックも感心させられるものでした。

なぜかって、

 

偶然に割り当てられた部屋の構造を利用してのトリック

 

だったからです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻49ページ)

三人目の被害者である速水の部屋に行くには、大広間から入るか、金田一少年の部屋から入るしかなく、金田一少年は眠らされていたにしろ、結城医師が大広間にいたことで、

 

犯人はどうやって速水の部屋に入ったのか?

 

という点が、大きな謎として残りました。

それを、小城は隣の部屋だった美雪を利用して、見事に部屋をすり抜けることに成功したのです。

 

そもそも、小城と美雪が1階の団体用客室に割り当てられたのは、速水玲香の差し金でした。

金田一少年と美雪以外の芸能関係者たちや他諸々のお客は全員2階に割り当てられた中、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻92ページ)

ライバルはあらかじめ潰して?おこうと思ったのか、各部屋が繋がっている団体客用の部屋に、玲香がわざわざ美雪の隣の部屋をおさえて小城を割り当てたのであって、そこに小城の意思は入っていませんでした

自分が担当するアイドルの父親が偶然に自分と因縁のある男で、その顔を見たことがきっかけで過去の忌まわしい記憶を思い出し、更に偶然に目撃した男の凶行を見て、その場で彼を利用することを思いつき、勝手に決められた部屋割りを利用してトリックを実行し、何の事前準備もナシにターゲットたちを確実に始末したのは、手際が良いとしか言いようがありません。

★想定外の事態になっても、その場でプラン変更できた「悲恋湖伝説殺人事件」犯人も、相当な知能犯でした。

【金田一少年の事件簿】「悲恋湖伝説殺人事件」犯人の最終目的は何だったのか

 

妹への愛が深過ぎる

実の妹だとわかった途端、玲香に害ある人物は絶許対象になった小城は、上司である赤間もソッコーでターゲットに入れました。

自分が育てたタレントをモノにする、という赤間の悪癖は、新卒とはいえ少なくとも半年は彼の下で働きながらその業界にいれば周囲から悪い噂は聞くだろうし、小城も実際にその目で女好きの片鱗を目撃していたとしてもおかしくありません。

実際に彼は、赤間のことを「人間のクズ」と評しています。

更に、玲香自身が赤間の強引な押しに困っていたことは、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻13ページ)

芸能レポーターの北条の耳にも届いているほどでした。

玲香の借金の件は前日に初めて知ったものの、「例の強引な手口」と言っているのだから、赤間の悪癖は業界では有名だったのだろうと推測できます。

すると当然、赤間のことは玲香のマネージャーである小城も把握していたはずです。

 

把握していたのに、玲香のことを特別守ろうとしてこなかった

 

から、彼女もある意味タレントにとっては一番身近なマネージャーの小城に相談もせず、父親の元へ逃げたのしょう。

新卒の若手が社長の悪癖を正すことはできなかったにしても、同じ業界人だったからとはいえ、玲香から相談を受ける対象にもならなかった小城が彼女に少しでも寄り添おうとしていたとは考えられず、つまり、これまで女好きの赤間の策略に悩む玲香を見て見ぬふりをしてきたのだと推測できます。

 

しかし!

 

玲香が15年前に生き別れた妹だと思い出した途端、

 

「赤間許すまじ!!」

 

と、速水と同様に即座にサツ害対象に切り替えたのです。

一応、自分が勤める会社の社長さんなんですけどね。

悪癖はそう簡単に治らないものですし、赤間を消したところで、自分の将来には何ら影響はないと考えたのかもしれません。

これまで赤間と玲香の関係を見て見ぬふりをしていたと思われる小城だけに、実の妹だとわかってからのその切り替えの速さには驚かせられます。

 

これは完全に個人的推測ですが、赤間が玲香に手を出そうとした時、赤間の部屋にコーヒーを運ぶよう諏訪さんに電話したのも、小城だったのではないか、と考えています。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻174ページ)

玲香が赤間に呼び出されたと金田一少年に話した時、その場を立ち去った美雪を小城は見送っています。

つまり、小城はその場に残って、玲香の話を聞いています

赤間の部下ならば上司の悪癖を知っていてもおかしくないので、いくらここが玲香にとって実家同然の場所であっても、赤間なら借金を理由に強引に迫ることを予想できたのではないでしょうか?

小城は名前を名乗らずに、諏訪さんにコーヒーを頼む時間もあったはずです。

速水オーナーが(自身の脅迫によって)それどころではないと知っていたからなだけ、なのかもしれませんが、女性の諏訪さんにコーヒーを頼んだのは後の玲香の心情を考えるとこれは大正解でした。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻177ページ)

難を逃れた玲香は、2階の赤間の部屋を出た後に小城に声をかけられます。

二人のいた場所が大広間には見えない、玲香の個室も2階であることから、小城が声をかけたのは2階の廊下であることは確実です。

小城の部屋が1階であることを考えると、大広間にいた彼がわざわざ2階に上がってきたのは玲香の様子を見に行こうとしていた可能性が非常に高く

さりげなく妹を見守っていた

のではないでしょうか。

小城の最期を見ても妹・玲香を大切に思っていたことは伝わりますが、過去の記憶を取り戻してからの小城は、兄として本気で妹の身を心配し、しっかり守り抜いていたのです。

★小城と同じ東大出身「異人館ホテル殺人事件」の犯人は、逆に実の妹に憎悪を向けました。

【金田一少年の事件簿】「異人館ホテル殺人事件」典型的な努力型の犯人を破滅に追い込んだ原因とは?

 

もっと見たかった頭脳合戦

「陰の脅迫者」である小城拓也を追い詰めた?、今回の金田一少年の謎解きエンターテインメントは、

 

タロットカード

 

でした。

★金田一少年の謎解きエンターテインメント性が光る、「首吊り学園殺人事件」の心理テスト。

【金田一少年の事件簿】「首吊り学園殺人事件」犯人の正体を暴くために、金田一少年が心理テストを自作した理由

 

タロットカードの意味になぞらえてころされた被害者たち、しかし最後の被害者で、自ら首をくくったと思われた速水雄一郎の側に逆位置の「吊るされた男」のカードがあったことで、

 

逆位置では首吊りの見立てにはならない

 

と考えた金田一少年は、「犯人はタロットカードの正位置を知らなかった」と結論付けます。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版15巻105ページ)

足から吊るされている絵柄が、本来の「吊るされた男」の正位置です。

速水の遺体があった部屋に貼られていたのは、正式には逆位置でした。

 

 

が!!

 

そもそも、小城が仕掛けたタロットカードに本来の意味はありませんでした

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻113ページ)

最初の被害者である伊丹の部屋に残されていたのは、「運命の輪」

遺体がくくりつけられていた「風車」を連想させるには充分でしたが、タロットカードの意味を知らない小城が、本来の意味である「突然の出会い」に見立てて置いたわけではありません

厳密に言えば、速水と伊丹、小城に関しては、まさに15年前の誘拐事件に共通した「突然の出会い」でしたが、タロットカードに詳しくない速水もその意味を全く理解しておらず、単純に風車山にある遺体を発見させるためと、速水に真相を知っているアピールするための道具に過ぎませんでした。(これは金田一少年も言っています)

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版14巻184ページ)

二人目の被害者、赤間の側には、「落雷の塔」

これも本来の意味は「予期せぬ災い」ですが、小城的には、「落雷」=「感電死」という、絵柄だけの単純な意味だったはずです。

それは三人目の被害者、速水の場合も同じで、タロットカードの本来の意味には特になぞらえていません。

つまり、

 

最初からタロットの本来の意味を持たない絵柄だけの見立て殺人

 

なので、「正位置を知らない=犯人である」という金田一少年の説明は、全く状況証拠にもならないのです。

ここで「こんなんで犯人呼ばわりされちゃ……」と言う小城の反論は、完全にド正論でした。

たまたま最初の二件の見立てが正位置だっただけで、タロットカードに詳しい結城医師とその意味を知っていた北条以外のタロット初心者たちなら誰でもやりがちな「ミス」と言われれば、確かにその通りなのです。

速水のサツ害は状況的に小城にしかできない犯行ではあるのですが、更に金田一少年に反論する前に、玲香の揺さぶりによって小城が思わず自供してしまったので、謎解きエンターテインメントがあっけなく終了してしまったのは、非常に残念ではありました。

逆転裁判のように、いくら証拠を突き付けても反論してくる証言者になって欲しかった…。

まだまだ本領発揮していたとは思えない犯人だっただけに、明智警視と同じ東大出身者 vs 金田一少年のガチバトルをもっと見たかったです。

まとめ

「タロット山荘殺人事件」で、犯人「陰の脅迫者」に秘められたポテンシャルについて、考察してみました。

東大法学部をストレートで卒業するという秀才でありながら、慣れない雪山の山頂で、見上げるほど高い風車に、身一つで成人男性の遺体をくくりつけ、速水雄一郎を利用した犯人・小城拓也は、(失礼ながら)外見に似合わず物凄い強さのフィジカルを持っていたことがわかります。

更に、偶然が重なった状況で見事にトリックを実行して確実にターゲットを始末した点を含めると、当然に地頭も良く相当なポテンシャルがあることも窺える犯人でした。

妹の玲香を命がけで守った小城の最期はまさに「兄」の顔で、こういった展開は大人になると切なくてたまりませんね。

★小城拓也の人生を狂わせた速水雄一郎については、こちらで考察。

【金田一少年の事件簿】「タロット山荘殺人事件」人気アイドル速水玲香の父、速水雄一郎の謎の過去を追ってみた

★ガチでポテンシャル満載、「秘宝島殺人事件」の犯人!

【金田一少年の事件簿】「秘宝島殺人事件」犯人のスーパーな無双っぷりが地味に凄い

 

「タロット山荘殺人事件」は、金田一少年シリーズ第11話です。

犯人視点のギャグ漫画では、むしろ犯人に同調してしまいます。

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