【金田一少年の事件簿】「秘宝島殺人事件」登場人物の家族関係が地味にエグい

 

金田一少年の事件簿の「秘宝島殺人事件」で、犯人周辺の登場人物の家族関係のエグさについて考察します。

 

*以下、最初から最後まで「秘宝島殺人事件」のネタバレ(犯人等)が全開なので、未読の方は要注意*

 

不憫な家族を持った登場人物

金田一少年シリーズに登場する犯人やその家族は客観的に見ても不憫な生い立ちの場合がほとんどですが、「秘宝島殺人事件」に登場する犯人とその周囲の人物は、まだ10代だっただけにその不憫さが更に目立ちます。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版6巻150ページ)

犯人、招かれざる客 こと美作碧……を装った、佐伯航一郎はその代表格です。

彼は考古学教授の父、アメリカ人で舞台女優だった母を持つ、3歳にして英語やフランス語もマスターしていたほどの天才児でした。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版6巻150ページ)

こちらは本物の美作碧さんです。

航一郎の父、佐伯京助氏を死に追いやった金に目の眩んだメンバーの一人、美作大介の一人娘です。

碧の父の美作大介はロクでもない男だったようですが、娘の碧はそんな父とは一線を画し、同じ孤独を抱えた年下の航一郎の心に優しく寄り添えるほど愛情深い女性でした。

しかし、「秘宝島殺人事件」の犯人である佐伯航一郎、彼と深い関わりのあった美作碧の家族は、はっきり言って彼らに多大な悪影響を与えた鬼畜とも言える人物たちです。

佐伯航一郎の伯父

まず、航一郎の伯父です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版6巻149ページ)

回想では、はっきりと顔は出ていません。

早くにアメリカ人の母を亡くしていた航一郎は、悲報島の財宝に目が眩んだ美作たちが原因で、3歳で父の京助すらをも亡くします。

佐伯京助氏には親兄弟がいなかったのでしょう、航一郎はアメリカに住んでいた母方の伯父に引き取られることになりました。

この伯父が、航一郎曰く「とんでもねー根性曲がりの男」で、彼を引き取った3歳の時から労働に従事させてコキ使ってきました。

更に、母親に似て中性的な顔立ちで美しくなっていく航一郎に女装させて、言葉にするのも憚られるほどのおぞましいことを仕出かそうとします…。

そもそも、先進国のアメリカで3歳の幼児に労働ばかりさせるのも問題ですが、母親に似てきた甥に邪な発想を持つこと自体がおかしくないですか?

 

つまりそれって、自分の妹に似てきた甥に欲情するということでしょう?

 

「伯父」という言葉はそのまま日本語通りに取れば「親の兄」という意味なので、航一郎の伯父にしてみれば、航一郎はまさに妹の子です。

航一郎は牧場で働かされていたので、この伯父は酪農家だった可能性が高く、そして航一郎の母に当たる妹は、華やかな世界に見える舞台女優。

兄妹のそういった生きる世界の違いが、航一郎が評した「とんでもねー根性曲がりの男」となった原因…だったのかもしれませんが…。

しかし、仮に伯父と航一郎の母が血が繋がっていない義理の兄妹だったとしても、そもそも成人男性が9歳の少年に対して欲情することが既に大問題であり、やはり

 

この伯父は人間的にも鬼畜と言わざるを得ません。

 

そして、さすがにそんな生活には航一郎も我慢ができず、9歳にして初めて伯父を事故に見せかけ亡き者に……その後、美作碧と出会うまでは荒んだ生活を送ることになります。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版6巻150ページ)

まだ13歳の少年が自分の半生をこんな風に語るなんて、それだけで悲しいです。

考古学教授と元舞台女優を親に持ち、更に天才児だった航一郎は、本当ならばもっと幸せな人生を歩んでいてもおかしくなかったのに…。

せめて航一郎を引き取った伯父がまともな人物だったなら、航一郎だってこんな苦労はしなくて済んだだろうと思うと、残念で堪りません。

しかし、伯父がまともな人物だとして、ひょんな所でアメリカの地で美作碧と再会したなら、それはそれでどうなんでしょう。

やはり復讐目的で碧に近付くのか、そこから碧と気持ちが通じ合っても結局同じ道を辿ることになるのか…?

美作碧の父、美作大介

次は、碧の父の美作大介です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版6巻53ページ)

美作大介は、過去の回想や写真でのみ生きていた姿見られます。

10年前、「秘宝島殺人事件」の被害者となる柿本麻人・八十島隆造・矢荻久義と共に、悲報島の財宝を国に寄附しようとした航一郎の父・佐伯京助氏を、事故とはいえ死に追いやった一人です。

美作大介は一人娘の碧を授かるも、悲報島の財宝伝説に常に取りつかれており、妻が亡くなってからは更に財宝伝説にのめり込みました。

実の娘の碧さえも自分から遠ざけ、生活の不自由だけはさせなかったようですが、

 

娘に一切の愛情を注ぐことなく、財宝伝説ツアーに利用することしか考えていなかった

 

ようです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版6巻154ページ)

父から娘への数年ぶりの手紙が、財宝伝説ツアーの手伝いをする段取りを説明するだけの内容で、碧は絶望します。

更にアニメ版では、財宝が発見されればツアー参加者全員を皆ゴロしにするのでそれを手伝えという指示まで加わり、鬼畜さに磨きがかかった設定になっています。

上記の航一郎の伯父と違い直接的に娘に危害は加えていないものの、娘にお金だけを渡してほぼ放置し、一番大事な愛情を注がなかった点においては、親としての責務を半分以上は放棄していたという印象です。

財宝伝説に絡む時だけしか娘と関わりを持とうとせず、17歳の女の子が実の父親からの愛情を一切受けずに孤独に生きなくてはいけなかった環境は、大いに同情できます。

財宝伝説にのめり込みながらも、一人娘の碧ともしっかりと向き合って愛情を注いで生活していれば、碧も孤独を感じずにいられたと思うのですが…。

しかしそうなると、不幸な人生を歩んでいる航一郎の完全な復讐相手として、報復されていた可能性が生じますね…。

美作大介の最期

美作大介は、おそらくですが、佐伯氏を死に追いやったメンバーで唯一、子どもがいました。

しかし、佐伯氏が亡くなったことで悲報島の管理を任され、島に家畜や畑を作ってまで外界と遮断するほどの人間嫌いだった男が、なぜ一人の女性と関係を持ち、子まで成していたのか、とても不思議です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版5巻163ページ)

岩田英作は、10年前に美作たちが悲報島を調査していた時も、美作の執事?をしていました。

極力、自分以外の人間を側に置かなかったということなのでしょうか。

しかも、碧の母となった女性が亡くなってからは施設に預けることなく美作が碧を養育していたわけで(裕福だったから預けられる理由がなかっただけかもしれませんが)、美作なりに、お金を与えてさえいれば親としての責務を果たしていると考えていたのかもしれません。

結局、美作のやり方で碧は常に孤独を抱え、最期は父や財宝伝説を憎んで自ら命を断ちますが、おそらく美作大介は娘の死を航一郎によって最期に知らされたのではないかと思われます。

孤児で施設を逃げ出し放浪生活だった航一郎では自分名義のパスポートを短期間で入手するのは難しく、美作碧に扮して来日した可能性が高いために、美作は復讐目的で悲報島にやって来た航一郎と出会うまでは、娘の死は知らされなかったのではないでしょうか。

碧が抱えていた孤独、そして最期の瞬間を、航一郎の口から聞かされたとするなら、その時の美作大介は、どう思ったのか…。

航一郎によって容赦なく遺体をバラバラにされたことから想像するに、親として娘の死を悲しむ素振りは見せなかったのか、それとも、それ以上に航一郎の美作や財宝伝説に対する憎しみが勝ったのか…。

想像すると、少し恐ろしいですね。

まとめ

「秘宝島殺人事件」に登場する犯人たちの家族の鬼畜っぷりを考察してみました。

犯人の佐伯航一郎は不幸にも両親を早くに亡くし、引き取られた先では伯父から壮絶な仕打ちを受け、その後数年は放浪生活。

航一郎に復讐を決意させた美作碧は、実の父親から一切の愛情を受けられず、財宝伝説によって人生を狂わせられた挙句に自ら命を断ちます。

航一郎も碧もまだ10代と若く、それだけに自暴自棄にならずに欲しかった…と思う反面、彼らが家族から受けた惨い仕打ちを考えると、同情の念を禁じ得ない二人でした。

★佐伯航一郎のスーパーな無双っぷりを考察した記事は、こちらから。

【金田一少年の事件簿】「秘宝島殺人事件」犯人のスーパーな無双っぷりが地味に凄い

 

秘宝島殺人事件は、金田一少年シリーズ第五話です。

 

犯人視点漫画は巻末に掲載されています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です