【金田一少年の事件簿】「オペラ座館殺人事件」犯人 歌月の犯行までの下準備を暴いてみた

 

金田一少年の事件簿シリーズの記念すべき第一作、「オペラ座館殺人事件」の犯人、歌月の犯行までの下準備について考察します。

記念すべき?一人目の真犯人なので、私も気合い入れて隅々まで暴いてみました。

 

*以下、最初から最後までネタバレ全開なので、未読の方は要注意*

 

犯人「歌月」とは

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版1巻157ページ)

正体は有森裕二。

3人を手にかけ、1人未遂。最期は自身が作った罠で命を絶ちます。

動機は、恋人だった月島冬子の復讐です。

月島冬子は顔に硫酸をかぶってしまい、彼女も自ら命を絶っています。

この死の原因=硫酸をかぶった事故のきっかけを作ったのが、同じ演劇部員の3人の女子生徒でした。

当初、月島自身はこの3人を許そうとしていましたが、色々すれ違いが生じてしまい、有森は復讐を誓うのです。

★有森の恋人、月島冬子についての考察はこちらの記事からどうぞ。

【金田一少年の事件簿】「オペラ座館殺人事件」月島冬子の人間関係を探れ! 七瀬美雪とは親しくなかったのか?

犯人の下準備

月島冬子が自ら命を絶ってしまってから、有森は3人への復讐方法を考えました。

ちょうどその頃、一ヶ月後に演劇部の合宿が計画されていたことから、その合宿先で殺害しようと決めたのでしょう。(月島冬子の死で合宿が中止にならなかったのが不思議ですが、コンクール前だということで部員の意思を確かめた上で実施されたと推測。)

合宿先を決めたであろう美雪の話によると、合宿先のホテルの名前は「オペラ座館」なので、むしろ有森的には、

「冬子の復讐にピッタリじゃねーか…!」

となったのかもしれません。

そして、実際に合宿が始まる前の下準備としては、

  1. 事前にオペラ座館に宿泊、ホテル内部を下見
  2. モーター付きゴムボート、歌月の変装衣服、包帯等を購入
  3. 「歌月」の名前でオペラ座館を予約
  4. 東京から静岡までの往復路線、時間のチェック
  5. 合宿日前日に静岡県に向かい、「歌月」の姿でオペラ座館のある孤島へ
  6. ホテルにチェックインした後、部屋を荒らす
  7. ホテルを抜け出し、ゴムボートを使って島を脱出
  8. 静岡から東京に戻る
  9. 一度帰宅してゴムボートを自宅に置いておく
  10. 翌朝、合宿に向かうために演劇部の集合場所に向かう

流れとしては、こんな感じでしょう。

事前にオペラ座館を調べていた

犯行当日、有森は劇の練習をしていた日高の悲鳴を録音しています。
その場に音響機材があったからできたことで、普通に考えたらそんな機材、合宿先にはないものです。

舞台上での声が緞帳が下りていれば聞こえないこととか、部屋の窓枠にワイヤーを張り巡らすとか、事前に館の内部事情を知っていないとできないことばかりをしています。

では、有森はいつ、オペラ座館の内部を調べたのでしょうか?

合宿前日に訪れた「歌月」変装時に、軽くホテル内部を調べていた?

否、顔に包帯を巻いた状態でホテル内をうろついていたら、黒沢オーナーはじめ従業員たちに一層怪しまれたことでしょう。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版1巻84ページ)

こんな姿でホテルに現れたとされる、有森君。

絵面的にも完全アウト。

普通に怖いです。

包帯を巻いているだけでもかなり要注意人物としてチェックされていただろうに、部屋には近づくなと言いながらこんな姿で劇場を出入りしていたら、ガチファントム過ぎて怪しさマックス全開です。

誰か通報してください。

そもそも、月島冬子が命を絶ってから合宿までの一ヶ月の間、合宿日前日のギリギリにホテル内部を調べ、そこでトリックを考えるなんて、そんな危険で場当たり的なことするはずありません。

後述しますが、有森はこの後に島を脱出して一度東京に戻らなければいけないというハードスケジュールなのです。

ゆっくり調べる時間もない中、狙った3人分のトリックを即座に考えるなんて、かの有名なマジシャンの息子にしかできない芸当です。

事前にホテル内部の事情を知っていたからこそ綿密にトリックを考えることができ、その上で「歌月」に変装したのでしょうから、「歌月」の姿の時にホテル内を調べたというのは、まず有り得ません。

なので、有森は一度、事前にオペラ座館に宿泊していたものと考えられます。

実は、オペラ座館を経営する黒沢オーナーは、日本でも五本の指に入ると言われた元有名演出家です。

そんな彼が経営する、劇場も併設されているホテルには演劇に興味がある人間、劇団関係の人間が宿泊することは、実際に頻繁にあったようです。

★黒沢オーナーの不幸な人生については、こちらからドウゾ。

【金田一少年の事件簿】「オペラ座館殺人事件」三部作の関係者、黒沢和馬の不運過ぎる人生を辿ってみた

そんな演劇関連の人間に紛れ、有森は事前にオペラ座館に宿泊し、ホテルや劇場の構造等を調べていたのです。

有森の動機・行動を考えると、後の合宿の時、以前にオペラ座館に来たことがあるとバレないよう黒沢オーナーらと直接会話をすることはなるべく避けながら、内部の構造等を調べたとしか考えられません。

もちろん、変装はしたでしょう。

月島冬子が命を絶ったのは一ヶ月前、そこから復讐計画を考えすぐにホテルに宿泊したとしても、一ヶ月もせずにもう一度島を訪れれば、さすがに黒沢オーナーも犯人の顔を覚えている可能性は高いです。

合宿中、何かの拍子に黒沢ら従業員に気付かれたらおしまいなので、念入りに変装はしたと思われます。

そして改めてトリックを練った後に、今度は明らかに怪しい人物、「歌月」として再び島を訪れるのです。

経済的に余裕があった?

今回の有森の一番の出費、モーター付きゴムボートは、ボートを動かすバッテリーなど全部揃えたら結構なお値段がするのでは?と思います。

スピンオフギャグ漫画「犯人たちの事件簿」によると、10万もしたそうです。

モーター付きゴムボート! ちなみに10万した……高校生にとってはなかなかの額だ……

金がかかる

トリックって、金がかかる……! 

 

「犯人たちの事件簿」1巻14ページより引用

確かに、社会人ならまだしも、高校生だと大きい額です。

更に、事前準備のための旅費、東京ー静岡間の往復費もありますしね。

大好きな彼女の復讐のためとはいえ、普通の高校生が短期間で簡単にこんな大金を用意できるとは……さては、お年玉をコツコツ貯めておくタイプだったな?

真面目に考えれば、両親が離婚をして高校生ながらアパートでの一人暮らしを許されるくらいなので、経済的に余裕があった家庭だったのかもしれません。

月島冬子が命を絶ってからほとんどアパートにも帰っていなかったということなので、一体どこに寝泊まりしていたんだか知りませんが、毎日外泊できるほど財布に余裕があったということなのでしょう。

かなりハードスケジュールな一日

オペラ座館のある孤島・歌島は、南伊豆の沖合に浮かぶ小島です。

伊豆半島の南東の端にある田舎駅が最寄り駅で、そこから車で15分ほどの小さな漁港からクルーザーで歌島へと向かいます。

不動高校演劇部合宿日の前日、

有森は単身で東京から伊豆半島まで電車で行き、
「歌月」としてホテルに到着して、
部屋をギッタギタに荒らした後、
こっそりホテルを抜け出してゴムボートで島を脱出、
再び伊豆半島から東京に戻ります

……とまぁ、こうして言葉で言うのは簡単ですが、これってかなりのハードスケジュールです。

まず、有森自身が東京駅まで電車で特急を使って30分~1時間圏内に住んでいるとして、朝の8時に自宅を出発するとします。(金田一らが通う不動高校が東京23区外の郊外にあるという設定から)

東京駅から伊豆半島までは新幹線ですね。

歌島は伊豆半島の南東にある駅が最寄り駅で、漁港からクルーザーが出ているということなので、実際に港もある下田近辺とします。

東京駅から下田まで、新幹線を使えば約2時間の行程です。
主要の下田駅から田舎駅までローカル線を使ったでしょうから、更に時間は必要です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版1巻15ページ)

合宿日当日に演劇部のメンバーが乗っているのは、おそらく静岡県内のローカル線です。

有森は下調べ時と歌月変装時、既に一人で往復二回も乗車していたことになります。

また、歌島の最寄り駅から港までは車で15分。

徒歩か、それともタクシーを捕まえたのか、あるいは路線バスが通っていたのか、推測では足がつかないよう徒歩だと考えられますが、とりあえず港まで行けばオペラ座館へのクルーザーが定期的に発着しています。

通常ホテルへのチェックイン時間は午後からが多いので、オペラ座館に到着したのも午後になったことでしょう。

そしてなんとかホテルにチェックイン、すぐに部屋を荒らして部屋を抜け出します。

部屋を荒らすと言っても、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版1巻75ページ)

このレベルで荒らさないといけないので、決して簡単な作業ではなかっただろうと思われます。

とはいえ、部屋を抜け出すなら薄暗い方が良いので、美術部兼任の腕で恐怖感を煽るようにじっくり荒らしたのかもしれません。

従業員たちに気付かれないよう、壁に大きな亀裂が入るほどの衝撃を与えた方法は不明ですが。

その後用意していたゴムボートに空気を入れて、だだっ広い海を一人で渡り、先程の港へ。

この行程も、慣れない作業だけにザラに1時間以上はかかったのでは?

港に着いたのは夕方になっていたことでしょう。

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」1巻33ページ)

本番での桐生を手にかけた際のトリック後も、疲れているご様子…。

海を渡ってなんとか港に着いた時も、体力的にはまさにこんな感じで、絶対に有森はこの時点で疲労困憊だったと思われます。

駅からローカル線で下田まで戻るも、おそらく周りは既に夜の時間帯、新幹線を使えば約2時間の東京に戻るだけと言っても、帰宅できたのはどんなに早くても確実に21時は回っていたでしょう。

ただ東京ー静岡間を往復するだけなら簡単ですが、ホテルの部屋を荒らしたり海をゴムボートで一人で渡らなきゃいけないという非日常的な行動が、有森の体力と精神を地味に削っていたように思います。

更に、翌朝10時半には合宿の集合場所から、再び同じ路線で静岡から孤島のオペラ座館へ、しかもその日の内に一人目の命を奪わないといけないから、連日の慣れないトリック行動のせいで、そりゃあもう有森は肉体的にも精神的にもヘトヘトだったと思います。

月島冬子への愛情と復讐への思いが、彼を突き動かしていたのでしょうか…。

オペラ座館へ向かう道中…

オペラ座館へは、「歌月」として月島冬子を連想させるために、顔を包帯でぐるぐる巻きにしないといけません。

まさか自宅から包帯を巻いて行くわけにはいかないでしょうから(悪目立ちし過ぎる)、せいぜい静岡県内に入ってからトイレ等で変装したのでしょうが、田舎の駅から顔に包帯を巻いた姿で歩いていたら、めちゃくちゃ目立ったでしょうね歌月さん…。

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」1巻7ページ)

申し訳ないけど、見た目から言ってまさに「怪人」かつ「犯人」です。

ホテルにチェックインできるかの心配の前に、港からクルーザーに乗る時点で、従業員から乗船拒否されないか心配した方が良さそうな見た目でした。

一度帰宅しないといけない!

先述したように、無事にチェックインした後も、有森はゆっくりなんてしていられません。

部屋を荒らし、ホテルを抜け出してゴムボートで島を脱出、明るい内だと漁港付近で目撃される恐れがあるので、多少薄暗くなってから港に上がった可能性が高いです。

「歌月」の時にモーターボートを入れていたスーツケースはあえてホテルに置いて来たので、別に用意していた代わりのバッグにモーターボートをしまいます。(その場で捨てなかったのは、証拠が発見されることを恐れたからかも。)

それらを持って東京に戻り、ほとんど帰っていなかった自宅アパートに久しぶりに立ち寄り、とりあえず証拠品を部屋に放置。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻35ページ)

後の警察の捜査で有森のアパートからゴムボートが押収されているようなので、一度アパートに帰ったのは確実です。

そしてアパートでの最後の睡眠を経たら、翌日から有森の壮大な復讐劇が始まるというわけです。

まとめ

「オペラ座館殺人事件」の犯人 歌月(有森)の、犯行までの一連の行動でした。

オペラ座館には不動高校での合宿が二度目かと思いきや、実は三度目だったと考えられる有森くん。

かなりのハードスケジュールを経ての復讐劇でしたが、有森にとっては残念ながら、その目的は完遂できず…。

しかも、オペラ座館は普通にお客として訪れていればとても良いホテルのはずなのに、犯人にしてみれば三回とも決して面白い旅行ではなかったでしょうね。

最後の合宿で結局、自ら命を絶ちますし…。

「主人公と共に行動する人間は犯人の可能性が高い」説を、金田一シリーズで最初に証明してくれた犯人でもありました。

 

オペラ座館殺人事件は、金田一少年シリーズの記念すべき第一話です。

有森くんが主人公?のスピンオフ漫画は、完全なギャグ漫画となっていて笑えます。

 

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