【金田一少年の事件簿】「異人館村殺人事件」時田若葉と兜霧子は親しかった? 二人の関係から垣間見える、若葉の涙の意味とは?

 

金田一少年シリーズ第二作目である「異人館村殺人事件」より、金田一と美雪の同級生の時田若葉と、若葉の故郷にいる兜霧子の人間関係、及び彼女らの人間性について考察します。

 

*以下、「異人館村殺人事件」のネタバレ(犯人等)が随所に散りばめられているので、未読の方は要注意*

 

時田若葉とは?

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻58ページ)

金田一と美雪と同じ不動高校に通う、クラスメイトの女子生徒です。
故郷の青森から上京して高校に通っていて、おそらく、学校の近辺で下宿していたと考えられます。

高校を卒業したら子供の時から決まっていた許嫁と結婚する予定でしたが、高校在学中に教師の小田切進との恋愛が表沙汰になり、それをきっかけに親元に戻されることになりました。

金田一曰く「負けん気の強ええ」女性とのことで、小田切との恋愛が発覚した時も、

どうあろうと教師と生徒の間でそのようなイカガワシイ行為をするなど言語道断!!

おおかた 時田若葉があの気の弱い小田切先生に誘いをかけたに決まってます!!

 

「金田一少年の事件簿」単行本版2巻52ページより引用

と、PTA会長から頭ごなしに決めつけられてしまうほど、活発な女性だったようです。
(表沙汰になった以上、生徒もだけど、まずは教え子のJKに手を出した成人男性(職業:高校教師)を叱れよと思うのは私だけ?)

また、高校生活では明るく周囲からの人望もそこそこあったと推測できます。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻57ページ)

一時は退学を免れた時、クラスの女子生徒たちは祝福してくれています。

普段から若葉の人柄が良かったから、世間では公にできない教師との恋愛が発覚した後も、陰でヒソヒソすることもなく一緒に祝福してくれたのでしょう。

ちなみに、故郷青森versionの若葉はこちら。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻73ページ)

デフォルト装備は和服で、表情も硬くなりました。

若葉お嬢様は、東京に行く

子供の時から親が決めた許嫁がいたという、本家祖父の金田一シリーズの時代背景ではありがちな設定ではありますが、やっぱり孫の(当時)平成世代にもなるとかなり珍しい環境だったのでは?とツッコミたくなる若葉の実家事情。

若葉の実家・時田家は、他の異人館の家族らと非合法な草の栽培で財を成し、何人ものお手伝いさんが家に常駐している真のお嬢様でした。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻74ページ)

さりげなくお嬢様を守る、鉄壁のディフェンスです。

教育が徹底されているようで、まさに時田家に忠誠を誓っているようなお女中さんたちです。

そんなお嬢様育ちの若葉ですが、上記の通り性格は勝気で活動的。

そんな性格から推測すると、「オラこんな田舎嫌だぁ!」と父親を説得して、故郷の青森を出てきたように見受けられます。

高校生活三年間だけ東京で過ごし、卒業したら地元に戻って許嫁と結婚するという条件の下、東京に出てきたのでしょうね。

兜霧子とは?

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻68ページ)

若葉と同郷、青森県六角村に住む17歳。
六角村にある異人館のひとつ、鎧の館の主人・兜礼二の娘です。

若葉の結婚式では黒いドレスを着て付き人もしていました。

初登場時が無駄に恐ろしい様子だった作中は台詞一切ナシソッコーで被害者になる(しかも命を奪われる直接的な理由がない)という、金田一少年シリーズではあるあるな不憫な被害者でした。

霧子お嬢様は、なんでもやる

若葉同様、非合法な草の栽培で財を成した異人館のお嬢様のはず霧子。

鎧の館の一人娘の霧子は、若葉の結婚式に出るドレスに付ける羽を調達するために、自らカラスを生け捕りするほどワイルドな女性でした。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻68ページ)

両手で二匹同時です。一匹はもう絶命した後でしょうか…。

お嬢様なら、お好きなデザインをオーダーメイドして取り寄せれば良いものを、ご自分でわざわざ生け捕りできてしまうあたり、霧子はなんでもやれる天然なお嬢様だったようです。

霧子お嬢様は、素直過ぎる

若葉の結婚式が行われた夜、既に霧子を手にかける予定だった若葉に言いくるめられ、彼女の身代わりになった霧子。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版3巻29ページ)

わざわざ自分が来ていたワンピースドレスを脱ぎ、若葉のウェディングドレスを着て、村のしきたり通りにベッドに寝て目を瞑るって……素直にも程がありますわ。おかげでやられてしまいましたよ。

自分のドレスを脱いで裸ではいられないからという理由でウェディングドレスを着たとしても、しっかりとベッドに横になって目を瞑るまで、完璧に花嫁のしきたりを代行する辺り、実は無愛想な外見とは違い、人を疑うことを知らないめっちゃピュアな良い子だったに違いないです。

カラスを生け捕りにするワイルドさを前面に出した不気味な第一印象だっただけに、ギャップ萌えが半端ないお嬢様でもありました。

若葉と霧子の関係

六角村を代表する異人館の一人娘同士、しかも同い年です。

作中には一切表現がないですが、普通に考えれば、二人が友人同士だった可能性は非常に高いです。

勝気で活動的な若葉と、無愛想で無口な霧子。

一見すると仲良くなりそうもない二人ですが、対照的な性格の二人だからこそ、狭い村では逆に仲良くなれたのかもしれません。

若葉が東京の高校に進学した後も、同郷の幼馴染の霧子とはずっと親交が続き、もしかしたら若葉は、同じ高校の友人には相談できない教師の小田切(六星)との交際も、遠く離れた故郷にいる霧子には打ち明けていた可能性も大いに有り得ます

もし、仮に二人が友人関係で以前から若葉が霧子に事実を打ち明けていたとすると、結婚式の夜、霧子が若葉に言いくるめられたのも充分に納得できるのです。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版3巻28ページ)

若葉の言う「最後に会いたい人」とは、もちろん結婚式にも出席していた元?カレ、小田切進(六星竜一)のことです。

霧子は、教師に恋をしてしまった若葉の苦悩を以前から知っていたからこそ、親にバレてしまったことで仲を引き裂かれた彼女に同情して、最後の願いを聞き入れたのではないでしょうか。

幼馴染の若葉が、本当に結婚する前に最後に好きな人に会いに行く。
その間、自分が若葉の身代わりとなって花嫁のしきたりをしっかり行う…。

これは完全に推測ですが、若葉が駆け落ちをするつもりならば成功できるように自分が後押しをしよう、という気持ちもあったかもしれません。

もし親しい友人ではなく、相反する性格でちっとも仲良くもない関係だったとしたら、若葉が

「最後に会いたい人がいるの…」

と頼んでも、

「断る」

と言われる可能性の方が高いです。

渋々入れ替わりを承諾してくれたとしても、ベッドに横になって目を瞑るという花嫁のしきたりまで忠実に行ってくれるとは思えませんし、そんなあやふやな見積もりの上で壮大なトリックの計画なんて立てられません。

霧子の立場から考えれば、自分は一晩教会で缶詰状態にされるのに、若葉は結婚前に好きな男と最後のイチャラブ逢瀬を楽しみに行くのです。

いくらお嬢様育ちで世間知らずの霧子でも、大して親しくもない女のためにそこまで従順になるとは考えにくいです。

むしろ全力舌打ち事案です。

二人は元々仲の良い友人で、霧子が若葉の境遇(政略結婚)に同情気味だったからこそ、若葉の頼んだ通りに行動したのだと推測できます。

若葉(計画を立てた六星含む)としても、そんな状態でかつ、霧子の素直な性格を知った上で身代わりを頼めば、霧子の性格上、断られる恐れはまずないと考えたのでしょう。

若葉は非情な女だったのか?

若葉と霧子が友人関係だったと考えると、今度は逆に若葉が最悪の悪女のようにも思えますね。

いくら愛した男の言いなりになっていたとはいえ、幼い頃からの友人の厚意を最大限に利用して命を奪った挙句、首まで切り落としたのですから。

では、本当に若葉は、好きな男のためだったら幼馴染をも簡単に裏切る非情な女だったのでしょうか?

小田切(六星)との交際が初めて発覚した後、結果的に高校を辞めて故郷に戻ることになった若葉は、家紋をかたどったペンダントを美雪に渡しています。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻59ページ)

自分のためにPTA会長に抗議をしてくれた美雪の気持ちが嬉しかったと言う若葉。

おそらく、この気持ちは本心でしょう。

自身の手も血に染める予定の中、薄々六星に命を奪われることも予感している時期だったから、まさか美雪が自分のために抗議をしてくれるとは思っておらず、だからこそ美雪の厚意を本当に嬉しく思い、忘れ形見のつもりでペンダントを美雪に託し、別れ際には涙まで流したのでしょう。

このように、他人の厚意に感謝できる心を持ち合わせていたであろう若葉ですから、自分の頼みを聞いてくれる霧子の思いやりを利用することには、相当の罪悪感を感じていた可能性は高いです。

結果的に、霧子を手にかけ、首まで切り落としますが、その後六星に命を奪われる時、若葉は抵抗を一切しませんでした。

愛した男に命を奪われる運命を受け入れたのは、六星のことを本気で愛していたのともうひとつ、幼馴染で友人でもあった霧子を騙して手にかけた、自分への罰と受け止めたのかもしれません。

若葉が最期に流した涙も、六星への愛と、裏切ってしまった幼馴染への悔恨の思いもあったからではないでしょうか。

元々は明るい性格で周囲からも慕われていながら、愛した男のために幼馴染を手にかけてしまった若葉ですが、心の奥底では、霧子に対しての罪悪感が全くなかったようには思えません。

眠らされた霧子が抵抗せず若葉によって命を奪われたように、当の若葉自身も一切抵抗せずに六星によって命を絶たれたのは、何やら皮肉めいた運命を感じます。

まとめ

原作では台詞も一切なくあっという間に物語の舞台から下りてしまった霧子ですが、実は外見とは裏腹に、ピュアで素直なギャップ萌え萌えのお嬢様でした。

その霧子と若葉が幼い頃からの友人だったと考えると、異人館村で起きた最初の事件が、いかに切ない事件だったということがわかります。

若葉も単なる非情な女だったわけではなく、霧子含めて根は善人だったことが随所から窺えるだけに、とても残念な結末に終わってしまった女性たちでもありました。

★若葉の親ら異人館当主たちの考察記事は、こちらからどうぞ。

【金田一少年の事件簿】「異人館村殺人事件」犯人と異人館当主たちの知られざる秘密!?

 

若葉と霧子が登場するのは、2話目の「異人館村殺人事件」です。

 

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