【金田一少年の事件簿】「首吊り学園殺人事件」金田一少年シリーズ史上、最強かつ完璧な犯人、地獄の子守唄が唯一やらかしたミスとは?

 

金田一少年の事件簿「首吊り学園殺人事件」から、金田一少年シリーズ史上でも超強敵だった犯人、「地獄の子守唄」が唯一やらかしたミスについて、考察します。

 

*以下、「首吊り学園殺人事件」のネタバレ(犯人等)が最初から全開なので、未読の方は要注意*

 

犯人「地獄の子守唄」とは

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版9巻120ページ)

正体は、浅野瑤子。

予備校講師の浅野は、教え子だった3人の生徒を自ら命を断った風に見せかけ、次々と手にかけました。(ニワトリ5匹も犠牲になっています)

動機は、隠れて交際していた恋人・深町充の復讐です。

深町くんも浅野の教え子で年も15歳も年下でしたが、二人は本気で愛し合っており、そんな中で深町くんが突然首を吊って命を断ってしまいます。

浅野は彼の心の支えになれていなかったと自分を責めますが、実は深町くんは、同じ予備校生徒である浅野の教え子たちにより、サツ害されていたのです。(しかも、彼らは全く反省していないどころか、亡くなった人間を冒涜までしていた)

その事実を知った浅野は激しい憎悪と絶望に襲われ、恋人を死に追いやった生徒への復讐を決行しました。

金田一少年シリーズ史上最強の犯人

さて、「地獄の子守唄」こと浅野瑤子さんは、

 

紛れもなく金田一少年シリーズでは最強かつ完璧な犯人

 

です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版9巻102ページ)

御年33歳、成熟しきった大人の魅力溢れる女性であり、予備校の数学教師として頭も相当良かったであろう浅野先生。

浅野先生が犯したミスの前に、彼女がなぜ「最強」と言われる犯人なのか、熱く解説します。

犯人最強伝説① 犯人自身は証拠を残さない完全犯罪を成し得る

そうなんです、実は浅野先生、

 

犯行に至っては何ひとつとして自ら証拠を残していません。

 

犯行に使われたロープやラジカセからは誰がどこで買ったかは特定できないもので、現場でも指紋など自分の痕跡を一切残さず、実はあった動機も隠し通し、犯人だと断定される「物的証拠」を浅野先生自身はひとつも残していないんですよね。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻131ページ)

剣持警部も危惧した浅野先生のアリバイトリックが実行された「証拠」、金田一少年はドヤ顔ですが、これについても、ぶっちゃけ浅野先生のミスではありません。

被害者である室井が、金田一少年の答案を丸写しでカンニングしたことで証拠として残ってしまっただけです。

 

話は少々逸れますが、このカンニングは浅野先生でなくても非常に驚きますね。

室井が浅はか過ぎてヤバイです。

マークシートとはいえ全ての解答を丸写しでカンニングするなんて、採点の時にバレる可能性が非常に高くなりますし、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版9巻134ページ)

金田一少年が前の席の時点で、後ろの席の室井がカンニングしたことは明白です。

こんなん、後でバレた時に、どう言い訳をするつもりだったのか?

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版9巻113ページ)

本人はこう言っていますが、お前仮にも一流大学の進学率が良いと評判の予備校に入学してて、そのやる気はどうなんだ、と…。
(これは金田一少年にも言えるし、わざわざ予備校にまで来てイジメをしている人間なので、正論を突いても意味ないのでしょうが)

なんにせよ、浅野先生はこの室井の浅慮で決定的証拠を残されました。(金田一少年とっては運が良かった出来事だけど)

 

話を戻して、もうひとつの証拠とされた仁藤の遺書の筆跡も、厳密に言えば浅野先生のミスではありません。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻141ページ)

脅迫されて書いた遺書を先に封筒に入れてから宛名を書いた仁藤、遺書の宛先が犯人=浅野先生であり、仁藤のその異様な筆跡の強さから、宛名を残してしまいました。

この2点の証拠から金田一少年は浅野先生が犯人だと証明出来たのですが、これら2つとも、浅野先生がやらかしたことではないのが、金田一少年の運の良さを物語っています

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」4巻151ページ)

自分のミスでないだけに、金田一少年のドヤ顔には浅野先生も驚きを通り越して真っ青ですね。

被害者である室井と仁藤が残した証拠がなければ、金田一少年はどうあがいても推理合戦で負けていたでしょう。

要は、浅野先生の運が悪かった(=金田一少年の運が良かった)だけと言えます。

犯人最強伝説② 犯罪計画が完璧

次に、浅野先生自身は証拠を残していないこの事件、

 

そもそも犯罪計画自体が超完璧

 

です。

警察の動向まで完璧に読んだ心理操作、講師としての立場を利用した室井の生存トリック、短時間で大の男二人の首を吊る浅野先生の底知れぬ腕力と強靭的なメンタル、どれを取っても隙がありません。

 

特に、金田一少年まで欺いた心理トリックはシリーズ随一でしょう。

 

単に探偵役を依頼するだけでなく、四ノ倉学園に授業料免除で入学を許可する条件として、金田一少年に自分の無実の証明をして貰うことと提示した時点で、金田一少年も浅野先生の心理トリックにはまっていました。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版9巻106ページ)

一講師が授業料免除を即決できる権限なんてあるのか?という疑問は置いといて…。

学校の成績は決して良くない金田一少年が、破格の条件で進学率の良い四ノ倉学園に授業料免除で入学できるチャンスを浅野先生のおかげで得たのだから、彼が無意識に浅野先生を庇ってしまうのは仕方のないことで、金田一少年も知らず知らずの内に、初対面で既に浅野先生の仕掛けた心理トリックの術中にはまっていたのです。

また、「コモリウタ」の血文字を残すことで、サツ害の順序をミスリードさせると同時に、血で汚された答案が処分されるかを確かめる練習にもなり、明らかな疑いを自分に向けることで警察の動向まで読み、結果アリバイ確保。

浅野先生が考えた計画は、まさに完璧と言えます。

犯人最強伝説③ 金田一少年を一度はミスリード

金田一少年シリーズ史上、浅野先生だけが成し遂げた偉業……

それは、

 

金田一少年を一度は完璧に騙した

 

ことです。

金田一少年の鉄板名台詞と言えば、

 

「ジッチャンの名にかけて!」

「謎はすべて解けた」

 

が特に有名ですが、個人的に一番の名台詞である「謎はすべて解けた」この名台詞を言わずに、金田一少年は一度事件関係者を集めて恒例の謎解きショーを始めます。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻48ページ)

そして、事件は解決を迎えたかのように思えましたが…。

一度でも金田一少年をここまで完璧にミスリードできたのは、浅野先生ただ一人です。

当時、あの名台詞を聞く前に金田一少年がどんどん推理して謎を解明していくのがとても不思議で、しかしその直後から真意がどんどん解明されて、「なるほど~!」と感心した覚えがあります。

この後金田一少年とは何度もバトルすることになる、かの有名魔術師でさえ、このような偉業は達成できておりません。

ミスリードで誘導されてもそこから挽回できる金田一少年の頭脳はもちろん、IQ180の天才を一度はミスリードできた浅野先生の心理トリックや計画も、(犯罪計画でなければ)称賛に値するものでしょう。

そして、「ジッチャンの名にかけて!」も、真犯人である浅野先生に向かって誓ってくれています。

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」4巻125ページ)

真犯人である浅野先生の前でジッチャンの名にかけてくれたことに、浅野先生も一安心です。

犯人が唯一犯したミスとは?

「浅野先生がいかに最強な犯人だったか」

という前置きが長くなってしまいましたが、ようやく本題の、犯人が唯一犯したミスについてです。

そもそも、

 

探偵役を金田一少年に依頼したこと

 

がミスと言えばミスなのですが、この事件においては、浅野先生が数学教師だったという点から、他の疑問点が考えられます。

0点を取る難しさを知らなかった?

名台詞「謎はすべて解けた」からの本当の推理ショーの時、金田一少年はわざわざ心理テストと言う名のエンターテイメントを始めました。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻84ページ)

一介の高校生が自作で作った心理テストを受けるためにわざわざ集められたなら、普通の大人なら怒り出すようなものですが、皆さん驚くだけででちゃんとテストは受けてくれるので、とても素直です。

★金田一少年が心理テストを自作した理由を考察した記事は、こちらから。

【金田一少年の事件簿】「首吊り学園殺人事件」犯人の正体を暴くために、金田一少年が心理テストを自作した理由

 

金田一少年が作った心理テストは事件に関係する問題だけで構成されており、それは真犯人でしか知り得ない情報ばかりで、一般人は正解を知らないものばかりでした。

しかし、「真犯人は正解から避けたがる」ので、テストで一番点数が低い人間が犯人だと、金田一少年は言います。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻95ページ)

記述式ではない選択式テストで0点を取る確率は、僅か7万分の1。

つまり、偶然に0点を取ってしまうことはほぼ有り得ないという結論から、金田一少年は見事0点だった浅野先生が犯人だと心理的に追い詰めました。

しかし、よく考えてみてください。

 

浅野先生は、数学教師です。

更に言えば、東大をはじめ一流大学の合格率が高い予備校の、数学教師です。

 

東大入試レベルの数学を高校生に教えられているであろう浅野先生が、選択式テストで偶然に0点を取ってしまう確率を理解していなかったという点は、どうにも不可思議です。

 

しかも、浅野先生は普段はテストを採点する側の人間でした。

四ノ倉学園で行われていたテストの解答欄を見てみると、

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻132ページ)

テストの問題が、最低でも45問あるのは明白です。(金田一少年は、問題は50問以上あると言っています)

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻93ページ)

そして、金田一少年が出した心理テストも、50問の問題でした。

50問の選択式テストで0点を取る確率は7万分の1ならば、四ノ倉学園で行われていたマークシート方式の50問ほどの定例テストでも、0点を取る確率は同じようなものでしょう。

勉強やる気0で後先考えずにカンニングまでした室井でさえ、マークシートのテストであれば0点を取ったことはなかったのでは?

そう考えると、

 

普段は採点側の数学教師の浅野先生の方が、0点を取る難しさをよっぽど理解していそう

 

なものですが…。

つまり、

 

一流予備校の数学教師

普段は採点する側だった

浅野先生だからこそ

 

「0点を取る確率」を理解していなかったとは考えにくい

 

のです。

なぜ0点を取るというミスを犯したのか

では、

なぜ浅野先生は金田一少年の心理テストで0点を取ってしまったのか。

これはもう、

 

気の緩みから一転した焦り

 

としか言いようがありません。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻66ページ)

一度は金田一少年を完璧に騙し、余裕を持ってお礼の言葉まで言えた浅野先生……「学園七不思議殺人事件」をたった一人で解決した噂の名探偵を見事にミスリードできて、内心ではホッと一安心だったでしょう。

★「学園七不思議殺人事件」で、犠牲者も出た個性溢れるミス研メンバーたちの紹介記事は、こちらから。

【金田一少年の事件簿】「学園七不思議殺人事件」揃いも揃って全員個性が強すぎる、不動高校ミステリー研究会の部員たち

 

しかし!

 

一度は解決したかのように見せかけ現場から追い出しても、堂々と戻ってくるのが金田一少年です。

特にこの事件では、金田一少年自ら解決しておいて「やっぱ違ったわ」と推理のし直しをしているので、犯人側の浅野先生にしてみたら、まさに「上げて落とされる」パターン、天国から地獄です。

安心して故郷に戻ろうとしていた所で突然再度の招集を受け、名探偵金田一少年自作の心理テストを受けるハメになり、これだけでも相当に不安だったろうに、テストの内容を見たら真犯人にしかわからない事件についての問題ばかり、浅野先生は完全にパニックになったことでしょう。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版10巻85ページ)

しかも、テストの制限時間はたったの15分

この場をどうしのごうか、考えれば考えるほどに、浅野先生は内心で混乱を極めたに違いありません。

 

今更反論してテストを受けないのは超不自然だから避けるべき、だからとにかく答えを記入しないと…。
だけど、どう記入すればいい?
正答を避けて0点にしていい?
確率的にそれは有り得ないような……でも、正答を書けば疑われる?
どのくらいの正答率なら疑われない?
選択肢は5つだから、正解する確率は5分の1……これが50問だから……あっ、もう5分経ってる!
とにかく何か、早く答えを書かなきゃ…!

 

浅野先生の思考を軽く想像するに、こんな感じだったのではないでしょうか。

金田一少年が設定したテストの制限時間15分というのも、超絶妙ですよね。

時間が長すぎると浅野先生が冷静さを取り戻す余裕を与えてしまいますし、思考の余地を与えない、この15分という短い時間が、えげつないくらいに浅野先生に心理的ダメージを与えたと容易に想像できます。

何も考えずにただ問題を読んで適当に答えを書くだけなら問題ない時間ですが、真犯人・浅野先生にしてみれば、問題のひとつひとつにどう答えを書けばいいか迷ったはずで、更に焦った頭では、得意の数学を生かした確率の計算もままならなかったでしょう。

単純に計算すれば、1分間で3~4問は答えないと終わらないテストなので、迷っている暇はありません。

つまり、

 

金田一少年が仕掛けた心理テストの罠で完全に混乱してしまったため、為すすべもなく無意識に正答を避け、結果的に0点を取ってしまった

 

のではないでしょうか。

 

金田一少年が一度でも謎を解く前だったならば、浅野先生もまだ油断せずに気を張っていられたかもしれませんが、一度ミスリードが成功してしまったがために浅野先生も安心して気が緩んでしまい、そこからの金田一少年の怒涛の反撃だったので、浅野先生のメンタル防御力は完全に0に落ちていたのだろうと推測できます。

(船津紳平/さとうふみや/金成陽三郎/天樹征丸、講談社「犯人たちの事件簿」4巻146ページ)

歴代の犯人さんたちはもちろん、本気になった金田一少年は、絶対に敵に回したくない相手ですね。

まとめ

「首吊り学園殺人事件」犯人 地獄の子守唄が唯一やらかしたミスについて、考察してみました。

東大をはじめとした一流大学への進学率が良い予備校の数学教師で、かつ普段は採点する側の人間だったからこそ、選択式テストで0点を取る確率の低さを一般人よりは理解していたのでは?と、考えられる浅野先生。

それでも金田一少年が仕掛けたテストで0点を取ってしまうという大ミスをやらかしたのは、一度は金田一少年へのミスリードが成功したために気が緩んでしまい、彼の反撃に備えることができなかったからでしょう。

 

…とまぁ、ここまで「浅野先生がやらかしたミス」とは言っていますが、

 

金田一少年の心理テストで無難に10点前後の点数で終わらせていたとしても、物的証拠があるので言い逃れはできなかったでしょうから、結果は変わらない

 

んですけどね。

とはいえ、最後は金田一少年の謎解きに屈しながらも、一度でも完全に彼を騙せた犯人はシリーズ中でも浅野先生ただ一人で、最強の犯人であることには変わりない人物でした。

★「首吊り学園殺人事件」で、金田一少年がわざわざ心理テストを自作した理由は、こちらの考察記事から。

【金田一少年の事件簿】「首吊り学園殺人事件」犯人の正体を暴くために、金田一少年が心理テストを自作した理由

 

「首吊り学園殺人事件」は、金田一少年シリーズ第八話です。

犯人視点の外伝漫画は相変わらず笑えます。

 

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