【金田一少年の事件簿】「異人館村殺人事件」犯人と異人館当主たちの知られざる秘密!?

 

金田一少年シリーズ第二作目である「異人館村殺人事件」より、真犯人及び、六角村(通称・異人館村)の異人館当主の来歴を考察します。

 

*以下、「異人館村殺人事件」のネタバレ(犯人等)が最初から満載なので、未読の方は要注意*

 

異人館村の当主たち

青森県六角村、通称異人館村の異人館に住む当主たちは、約100年前にやって来た宣教師たちによってもたらされた大麻畑の栽培を成功させ、巨万の富を築いてきました。

田舎の村で、他の村人に知られることなくしかも村の敷地内で、そんな大それたものを栽培し続けるのは無理なんじゃなかろうか…という疑問はどうしても残りますが、おそらく、異人館に古くから勤めて信頼できる使用人ならば、当主の秘密を知っていたとしてもおかしくありません。

でないと、当主も草の栽培に出掛けていられなさそうだし、そもそも

 

「お前仕事何してんの?」

 

という話になるので。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻127ページ)

心臓に持病がある時計の館・当主の時田氏が徒歩で行けるほどの距離に、やばい草は栽培されている模様。

27年前の過ち

宣教師が建てた教会に住んでいた牧師一家と、異人館当主の6家族によって非合法の草は栽培され続けましたが、27年前、牧師が草栽培に異論を唱え、畑を全て焼き払おうとしたので、異人館当主たちは牧師夫婦の命を奪います。

更に、牧師夫婦が育てていた孤児だった7人の娘を教会に閉じ込め、焼き殺してしまうという残虐非道なことをしでかした異人館当主の鬼畜たち6名。

しかし、牧師夫婦の娘の一人と真剣交際していた異人館当主の一人、風祭淳也が、遺体を切り刻むトリックを駆使してなんとか彼女だけを病院に運んで救出したことで、復讐劇が始まります。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻92ページ)

牧師一家の件で罪悪感があったのか、事件後から趣味だった狩猟と剥製をピタリと止めた風祭氏。

風祭氏が将来結婚まで約束していた女性、六星詩織はその後病院から姿を消し、消息を絶ちます。

まさかこの時、詩織のお腹の中に赤ちゃんがいたなんて、当時の風祭氏は想像もしていなかったでしょう。

犯人の生い立ち

異人館当主の風祭氏と、草栽培仲間の牧師夫婦の娘だった六星詩織の間に生まれたのが、六星竜一です。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版3巻43ページ)

高校の教え子に手を出した変態教師、小田切進……ではなく、六星竜一です。

竜一曰く、母親の詩織は、自分の代わりに六角村の異人館当主たちに復讐するよう、息子に教育したと言います。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版3巻58ページ)

実の息子になんて教育を…と思いますが、それほどまでに、自分の家族全員の命を無残にも奪った連中が憎かったということなのでしょうか。
(関係ないけど、奥で地味に驚いている連城氏が可愛い)

★親の教育の賜物で犯罪者になった七人目のミイラとは違い、「飛騨からくり屋敷殺人事件」犯人の 首狩り武者 は子どものために獣になりました。

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★「金田一少年の殺人」犯人 見えざる敵 も、子どものために無慈悲な犯罪者になってしまいました。

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詩織は戸籍上は亡くなったことになっているため、真っ当な仕事に就けず、親子で極貧生活を送っていたと言います。

無戸籍の竜一はおそらく学校にも通えていなかったと思われますが、しかし、

 

竜一のコミュニケーション能力は人並みかそれ以上のものを持っているのは確か

 

です。

原作では不明ですが、ドラマ版では本来不動高校に赴任してくるはずだった小田切進は、英語担当の教師でした。

まともに学校に通っていなかったであろう竜一が、その小田切に成り代わって高校生相手に英語を教えられていて、同僚の教師たちとの前では「気の弱い小田切先生」を完璧に演じ、更に狙った現役女子高生を本気で口説き落とせるほどの恋愛スキルも持っているなんて、稀に見るスーパー天才肌としか思えません。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻49ページ)

しかも、自分の復讐計画の一端で、相手をホテルにまで連れ込めています。

★「秘宝島殺人事件」犯人の 招かれざる客 も、金田一少年を唸らせるほどの天才っぷりを発揮しています。

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で、ここからは完全な推測になってしまうので恐縮ですが、竜一のずば抜けたコミュニケーション能力や、母親・詩織がなぜかあらゆる殺人術を習得していたことを鑑みると、

 

六星親子は裏のヤバイ組織関係の人間と繋がっていたのではないか?

 

と、邪推してしまいます。

実は、六星親子が裏社会の方々と繋がっていたと仮定すると、色々と辻褄が合ってくる点が多いのです。

犯人たちの知られざる来歴

そもそも、異人館当主の6家族と教会に住む牧師一家だけの秘密だったという非合法の草栽培ですが、日本では栽培も所持も譲渡も違法である大麻を栽培している時点で、

 

完全にこの人たち裏社会の方々と繋がっているよね?

 

と考えざるを得ません。

他の村人に隠しているくらいだから、栽培や販売が可能となる「大麻取扱免許」も取得していないでしょうし、となると、どうやって栽培したブツを捌けるのか?という話になってきます。

つまり、裏の社会の人間や、危ない外国グループの人間とお付き合いがあったのではないか、と。

そう仮定すると、全て納得できます。

 

  • 牧師夫婦と異人館当主たち全員、裏社会の人間と付き合いがあったため、草栽培に加えて裏社会との繋がりも憂慮して、牧師夫婦は年頃になった娘たちのためにもと、栽培を止めようと言い出した。
  • 牧師夫婦の娘だった詩織も裏社会の人間と面識があったので、27年前の事件で風祭氏が助けてくれた後、そちらのツテを頼ってなんとか生きて来れた。
  • 息子を出産しても無戸籍で真っ当な仕事に就けないため、裏社会繋がりの仕事でなんとか食い繋いだ。
  • 息子に格闘術や様々な殺人術を仕込めたのも、裏社会の人間が側にいたため。
    (素人女が格闘術や殺人術など仕込めるはずない。ましてや銃の撃ち方なんて…)

 

と、こんな感じで、

 

無戸籍の六星親子がなぜ生きて来れたか?も含め、六星親子が裏社会と繋がっていたと考えると、全て辻褄が合ってしまう

 

のです。

もちろん、ここまで完璧な心の無い最強マシーンになれたのは、竜一本人の素質もあったでしょう。

異人館の人間たちに復讐するために生まれてきたと豪語する竜一は、全ての怒りを復讐への力に変えることによって、最強のマシーンへとなったのです。

連城氏も実は…

もはや金田一少年シリーズでは定番となった、顔をマスク等で完全に隠した明らかに怪しい登場人物。

その一番最初のパターンが、時田若葉の婚約者である連城久彦でした。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版2巻136ページ)

頭から袋を被るだけで、人はこんなにも怪しく見えます。

連城家は、県内でも五本の指に入る資産家とのことですが、これも、

 

連城家が裏社会関係の規模の大きい家

 

と捉えると、時田若葉と政略結婚するという関係も、筋が通ってきます。

草栽培をしている異人館当主の跡取り一人娘と、県内で顔を利かせている裏組織の息子が結婚することで、双方の関係が更に強固なものとなり、結果的に莫大な利益が生じるからです。

異人館当主の一人、一色寅男が、亡くなった若葉のことを「忌々しい時田の跡取り娘」と呼んで亡くなったことを祝っていたのは、連城家と時田家が縁続きになったことで売り上げがそちらに多く流れるのではないかと、内心では忌々しく思っていから、とも取れます。

連城氏自身は体が弱く引きこもりがちであったとはいえ、写真でしか知らない若葉を幼少期から愛し、その彼女の復讐のために六星のわき腹をナイフで確実に命を奪いに行っている辺り(失敗したけど)、やはり普段から物騒なことには慣れていたということなのでしょうか…

若葉の復讐に失敗してしまったのは、体が弱く実践慣れしていなかったのと、単純に六星との経験値の差だったのかもしれません。

謎を呼ぶ犯人の出生の秘密

戸籍上では亡くなった扱いとなった六星詩織が赤ちゃんを出産したら、もちろんその子も無戸籍となります。

 

無戸籍だと、行政の書類上では六星竜一という人間は存在しない

 

ということになるのですが、金田一少年は、事前に犯人の名前を「六星竜一」だと知っていました。

(さとうふみや/金成陽三郎、講談社「金田一少年の事件簿」単行本版3巻44ページ)

名字の「六星」は、戸籍にも残っていた母親の名字だったとしても、名前の「竜一」の方は誰も知る術がなかったと考えられるのですが…。

母親の詩織の足取りを辿って当時の関係者から話を聞けばもしかしたらわかったかもしれませんが、そんなの一日やそこらで判明するほど、簡単な聞き取り調査なのでしょうかね…?

金田一少年が初めて六星が怪しいと勘付き剣持警部に彼の調査を依頼してから、約2日後には剣持警部から調査の結果が青森県警に届いていますが、この2日間という短い間に無戸籍の「六星竜一」まで辿れたとしたなら、警視庁の刑事さんってめちゃくちゃ優秀です。

★無戸籍の人物は「タロット山荘殺人事件」にも登場していた!?

【金田一少年の事件簿】「タロット山荘殺人事件」人気アイドル速水玲香の父、速水雄一郎の謎の過去を追ってみた

まとめ

異人館村の異人館当主たちと、犯人の来歴を勝手に推測してみました。

違法であるやばい草の栽培を手掛けていた異人館当主たちだけに、

彼らの関係者は皆そっち関係の人間だと疑わざるを得ない

というのが、勝手な私の推論です。

「異人館村殺人事件」は、とにかくやられた人数が多い、ショッキングなお話でもありました。

★六星を愛した若葉と、同村出身の兜霧子の考察記事は、こちらから。

【金田一少年の事件簿】「異人館村殺人事件」時田若葉と兜霧子は親しかった? 二人の関係から垣間見える、若葉の涙の意味とは?

★「雪夜叉伝説殺人事件」犯人も、母親の死が原因で復讐に手を染めました。

【金田一少年の事件簿】「雪夜叉伝説殺人事件」犯人の雪夜叉はメインのトリックをいつ、どのように作ったのか?

 

母親の教育で復讐マシーンになってしまった六星竜一が、父親の風祭氏によって命を落とすシーンは、親になってから読むと涙が出ます。

 

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